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2007.11.25

「しゃばけ」(TVドラマ版) 映像作品ならではの「しゃばけ」

 昨晩放映されたTVドラマ「しゃばけ」。原作ファンの端くれとして期待と、それ以上に不安一杯で観たのですが…ごめんなさい、大変面白うございました。

 正直なところ、観る前に一番不安だったのは、特撮に関してでありました。
 およそこの手の特撮を使用した時代劇というものは、それなりのお金をかけ、それに加えて相応のセンスがなければ、惨憺たる結果となるもの。そんなわけで過去のアレやコレを想像して勝手に暗い気分になっていたのですが――これが嬉しい形で裏切られました。
 つくも神と化した器物がひょいと動く様のようにちょっとしたものから、鳴家がちょこちょこと動き回る姿、さらにクライマックスの大火災に至るまで、まずは違和感なく「しゃばけ」の、ちょっと現実から外れた、しかしリアルな手触りの世界を巧く描き出していたと思います。

 しかし特撮はあくまでも本編を扶けるもの。ドラマを支えるのは役者さんの演技ですが、これもまた良し。若だんなを演じた手越祐也さんは、元々の顔の造作がしっかり目のせいか、最初は違和感がありましたが、その言動やちょっとした仕草などは、確かに若だんな。弱くて強い、そんな若だんなのキャラクターをきちんと演じていたかと思います。
 しかし何と言っても今回のMVPは、仁吉と佐助を演じたお二人。特に仁吉役の谷原章介さんなど、ビジュアルの時点で既にはまり役だったのですが、いざ動いてみればこれがもう本当にそのまんま。原作の時点からすでにそうでしたが、二人ともつくづくおいしいキャラクターでした。

 さて、そんなキャラクターが活躍する物語の方は、原作から色々とアレンジが加えられており、特にラストの火炎の中での対決シーンなどは大きく原作から改変されていて、この辺り、原作ファンの方にとっては、面白からざる点だったかもしれません。
 しかし個人的には、この改変も十分許容範囲でした。本作のテーマである親と子の情、人と人との間の――もちろんそれは人と妖との間も同じなのですが――心の絆、さらには生きること、命の重み…そうしたものに対する若だんなの想いがクライマックスに向けて収束していく様は(泣かせに走りすぎかもしれませんが)、ドラマとして良くできていたと感じます。
(ナレーションが実は…という点や、佐助の過去話など、小技も色々と巧い)

 ファンタジックな、しかし生きた人の心が存在するドラマとして、原作に負けない映像作品ならではの「しゃばけ」を見せてくれたこのTVドラマ版。これは是非とも、続編を製作していただきたいものだと素直に思います。


 ちなみに、個人的には、柴田ゆう先生のイラストから大きく異なった鳴家のデザインが大いに不満だったのですが、動いている姿を見るとこれはこれでなかなか…


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