大河ドラマ「風林火山」 完結によせて
平成十九年の大河ドラマ「風林火山」が、昨日めでたく最終回を迎えました。
個人的には、こんなサイトをやっているくせにどうも大河ドラマというのが基本的に好きになれないのですが、今回は「新選組!」以来久しぶりに、最後まで引き込まれるように見てしまいました。
私が大河ドラマを好きになれないのは、「一将功成りて万骨枯る」世界に感情移入できないからなのですが、本作はまさにその一将・山本勘助を描いた作品。
にもかかわらずそれを面白く見ることができたのは、彼の行動原理が、大義名分のためというわけでなく、かといって我欲のためのみでもない、色々と複雑な内面を抱えていたからではないかと今更ながらに感じます。
振り返ってみれば、大河ドラマで、勘助ほど人間のできてない主人公は珍しいのではないかと思いますが、この「人間のできてなさ」は、勘助のみならず登場人物のほぼ全員に共通する要素。
完璧超人が存在しない(それこそ一番超人じみた存在である上杉謙信も、その超人性自体が「人間のできてなさ」に直結していたのが面白い)世界、人間臭い連中ばかりの世界であったからこそ、物語にある意味爽快なまでのバイタリティと、そして同時に深みが生まれたのではないかと感じます。
もちろんそれも、大河ドラマならではの豪華すぎるキャスティングと、それに加えて「武者震いがするのう!」に代表される、出演陣の気合いの入りまくった演技に支えられてこそ、ですが…
と、無理矢理このサイトの方向に話を持っていくと、伝奇的に見ると、存在自体が伝奇的な主人公だけあって、これも相当の充実ぶり。何だか武田・今川・北条・上杉で起きた事件・合戦の八割方に勘助さんが絡んでいたような勢いで、冷静に考えると結構無茶な気もしますが、それがお茶の間に流されていたのだから痛快です。
特に桶狭間の合戦のエピソードなど、決して本作独自のアイディアというわけではないのですが、出演陣の演技も相まって大いに楽しませいただきました。
…あれは昨冬のこと、番組が始まったか始まらないかという時期だったかと思いますが、私がとあるファーストフード店に入ったとき、近くに座っていた五、六十代と思しき男性客数人が、交わしていた会話の中で、こんな言葉が耳に入ってきました。
「山本勘助って、黒田官兵衛とは違うの?」
なるほど、普通の人にとって山本勘助というのは、この程度の知名度なのかと妙に感心した記憶があるのですが、さて、この時のオジサンたちは、勘助のことを覚えてくれたでしょうか?
覚えるどころか、忘れられないくらいのインパクトを受けたのでは、と今は思っているところです。
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コメント
風林火山、面白かったです。
私も個人的に新選組以来のヒットかと思ってます。
ただ、義父・義母にしてみれば「見られたもんではない」そうです。
60代の二人にしてみれば、勘助の破天荒な行動や練れていない人柄は「不可解かつ汚い」らしく、武田信玄役の亀治郎さんの台詞回しも「歌舞伎だ」と。演技も若々しさが見ていられないと感じちゃうみたいでした。
役者としても人物としても完璧な人柄を求めてしまうみたいです。年代の違いによる感じ方と言ってしまえばそれまでなのですが。
投稿: たぬき | 2007.12.17 11:31
私も大河を通してみたのは「新撰組」以来でした。ネタが地元に絡まなければスルーしていたでしょう。
初めから期待していた「新撰組」と違って「風林火山」は期待に反して面白かったです。つっこみ所が満載で。
高野山での勘助対謙信の一騎打ちには大笑いしました。
伝奇と言う面では再来年にも期待したいですね。
敵役に成らざるを得ない三郎景虎(謙信公じゃ無いですよ)がどんな描かれ方をするのか。
投稿: 冬至楼均 | 2007.12.17 21:26
「組」ファンは「風林火山」も好きという統計的データが取れるような気がしてきました。
たぬき様:
そうそう、勘助は人間ができていないだけでなく、本当に小汚らしかったですねえ。ほとんど毎回鬼界ヶ島に置いてけぼりにされたような有り様でした。
そこがまた良かったのですが、なるほど、年配の方にとってはあのダーティぶりはちょっと刺激が強いのかもしれません。
冬至楼均様:
「風林火山」を語る上で忘れてはいけないのは、あのネタっぷりですね。ほとんど毎回、何かしらつっこみ所があったように思います。勘助対謙信は、二人の人間のできてなさがモロに出て微笑ましいエピソードでした。
再来年は上杉のターンで、こちらも楽しみですね。
投稿: 三田主水 | 2007.12.17 23:59