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2007.12.30

今年の十作品(後編)

 さて、昨日の続き、今年の十作品の漫画部門・アニメ部門です。
漫画
 小説に比べるとグン、と発行点数が増える漫画。このブログでも、一年の半分くらいは漫画を紹介していたような気がしますが、さてその中から何点か選べと言うと大弱り。
 結果として選んだのは「次郎長放浪記」「Y十M 柳生忍法帖」という、鉄板のようなそうでないような、な二作品ですが、その気になれば十作品全てを漫画で埋めることも可能だったかもしれません。

 「次郎長放浪記」は、本年痛恨の「第一部完」となってしまいましたが、ラストまで次郎長と死闘を展開したクーマン神父のキャラ立ちぶり…というか基地外っぷりは、むしろ本年と言うよりオールタイムベストにもふさわしい素晴らしさでした。
 また、本年はまだまだ連載途上の「Y十M 柳生忍法帖」は、本来であれば完結する(であろう)来年選ぶべきかもしれませんが、原作ファン、十兵衛ファン誰もが待ち望んだあの啖呵が素晴らしいクオリティでビジュアライズされたのだから文句は言わせません。

 なお、次点としては、ダークホース的作品ながら、妖怪ファン必読のコメディである「怪異いかさま博覧亭」と、あの名作「明楽と孫蔵」のビフォアストーリーであり、連載が進むにつれ加速度的に面白くなってきた「御庭番 明楽伊織」を。


アニメ
 ここまで小説と漫画についてあれこれ書いておいて何ですが、2007年の時代伝奇シーンを振り返ってみて最大の特徴は、アニメ作品の豊作ぶりであることは間違いないでしょう。
 おそらくはほぼ偶然とはいえ、ただでさえ作品数の多くない時代(伝奇)アニメが、しかも水準以上のクオリティのものばかりが今年(正確には昨年スタートの作品もありますが)発表されたのには、ちょっとだけ困惑しつつも、大いに嬉しい悲鳴を上げさせられました。

 その中でも今回選んだ三作品は、今年のみならず、この先も同好の士の間で語り継がれるであろう名作。
 惜しくも半年限りの放映となったものの、DVDに収録された追加エピソードにて怒濤の完結となった「天保異聞 妖奇士」は、わかっている人間がとことんまで突き詰めた結果、アニメはおろか、TV時代劇、いや時代もの全般でも滅多にない高水準の作品となりました。

 一方、わかっている人間たちがとことんまで突き抜けた結果生まれたのが、「大江戸ロケット」。パロディとギャグをふんだんに盛り込んだ本作は、往年のTV時代劇チックな、ナンセンスでバイタリティに富んだ、そしてそんな中にも確かな時代ものとしての息吹を感じさせる快作でした。

 そして、この二作品とは全く別のベクトルから時代ものに切り込んだのが「モノノ怪」。昨年絶賛された「化猫」同様、カラフルでポップなタッチで、残酷で哀しく切ない人間模様を描き出し、時代ホラーに新たな可能性を示したと言えます。

 なお、アニメの分野での次点は「ストレンヂア 無皇刃譚」であります。例年であれば間違いなくベストに選ばれていた時代アクションの快作を次点にせざるを得なかったほど、本年は異常なまでの時代アニメ豊作であった――こう結論づけてこの稿を終えます。


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