« 「立体忍者活劇 天誅 忍凱旋」 忍者RPGの一つの到達点 | トップページ | 今週の「Y十M 柳生忍法帖」 戻った櫛の意味 »

2008.01.08

「あんみつ姫」 全力投球の快作時代劇コメディ

 楽しかった正月休みも終わりの六日晩に放送されたのは井上真央主演の「あんみつ姫」。さすがに原作にも過去の映像化にもほとんど触れたことが無く、放送もフジテレビということで(偏見)さしたる期待もなく観たのですが…これが想像したよりもずっとよくできた楽しい作品で、嬉しい誤算でした。

 お話は単純明快、真実のラヴを求めて城を抜け出したじゃじゃ馬姫が、町で掏摸で弟分たちを養う青年・煎兵衛と出会い、彼らともどもお家転覆を謀る悪党ばらの企みに巻き込まれて騒動を繰り広げる中で、人間にとって本当に大切なものとは何かを学んでいく、というもの。
 そこにしょこたんやら○○王子やらのベタなデコレーションがごっちゃり乗っかって、賑やかに物語が展開していくのですが、それはそれとして(いやそれももちろん含めて)、とにかくキャストとスタッフとの、面白いものを作ろうという意気込みがダイレクトに伝わってきて――そしてそれが意気込みだけに終わらず、理屈抜きに楽しい時代劇コメディとなっていたのには感心しました。

 何よりも、えらく豪華なキャストたちが、楽しそうに馬鹿馬鹿しいことをやってくれるのが嬉しい。冷静に考えると随分勿体ないことをやっているような気もしますが、この無駄遣いがまたお正月らしくて良いではないですか。よく見ると色々なところに小ネタがちりばめられているのも(京本政樹の演じる役が「リュウ」だったり)また良し。クライマックスにはちゃんと大活劇が用意されていて、ストレートな娯楽時代劇ぶりがかえって新鮮に映るほどでした。

 また、単に楽しいだけでなく、泣かせの部分も頑張っていた印象があります。メインになるのは姫と煎兵衛の交流、そして初恋で、これはこれで若い二人が嫌味なく爽やかに演じていて良かったのですが、それに勝るとも劣らなかったのが、もう一組、姫の小姓の甘栗の助と、煎兵衛の妹分で、心の傷から口のきけない少女・おはぎという幼い二人の姿。この二人の姿からは、誰でも一度は経験があるであろう初恋の甘酸っぱさと切なさが――書いている本人もだいぶこそばゆいですが――ヒシヒシと伝わってきて、だいぶ涙腺を刺激されました。
 冷静に見てみればこの辺りのドラマはベタもベタなのですが、これはそれを乗り越えてしまった二人の子役の名演技を讃えるべきでしょう(全く恥ずかしながら存じ上げなかったのですが、この二人、やっぱり有名な子役さんなのですね)。

 そしてラスト、これまで姫を優しく見守ってきた父である殿様の口から語られるのは、人が人を思いやり、慈しみ、愛すること――まさに「ラヴ」の尊さ(さすがにここで拍手はいかがなものかしら、とは思いましたけどね)。
 これが素のギバちゃんが言うともう寒すぎるのですが、時代劇コメディとして散々お祭り騒ぎしてみせた後で、フッとこういうことを言われると、またグッとくるというか…なるほど、普通ではちょっと気後れしてしまうようなストレートな内容でも、こういう作品だからこそ語れることもあるのかと、感心してしまいました。もちろんそれも、キャストとスタッフが全力投球しているからこそですが――

 さらにずるいくらいハマっていたのは、ラストに流れる主題歌――異常に豪華な顔ぶれの「ダイヤモンド」のカバー。原曲は九十年代に青春時代を送った人間の多くにとって何らかの思い入れがあるんじゃないかという名曲ですが、これがまた青春真っただ中のあんみつ姫の姿に見事なまでに重なって…
 どうも今回こっ恥ずかしいことばかり書いてしまいますが、それだけ良くできた作品だったということで一つ。正月休みの終わりに見るには、ぴったりの爽快な作品でありました。


 しかし時代劇に出ると夏木マリはもの凄い破壊力だなあ…


関連サイト
 公式サイト

|

« 「立体忍者活劇 天誅 忍凱旋」 忍者RPGの一つの到達点 | トップページ | 今週の「Y十M 柳生忍法帖」 戻った櫛の意味 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/17618465

この記事へのトラックバック一覧です: 「あんみつ姫」 全力投球の快作時代劇コメディ:

« 「立体忍者活劇 天誅 忍凱旋」 忍者RPGの一つの到達点 | トップページ | 今週の「Y十M 柳生忍法帖」 戻った櫛の意味 »