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2008.02.24

「諸国グルメ放浪記」 時代ものとグルメもののハイブリッドながら…

 …突然ブログを宗旨変えしたわけではありません。本のタイトルからは到底想像つきませんが、(伝奇ものではないものの)歴とした時代もの。あの原恵一郎先生が、「鉄板少女アカネ!!」の原作者・青木健生氏と組んだ時代料理漫画であります。

 江戸時代に記されたという「諸国名産料理通」なる書物――その作者・春日拓ノ進が本作の主人公。剣の達人ながら生来の暢気者、三男坊の部屋住みで唯一の楽しみは食い道楽という拓ノ進が、藩主の「各地の美味を記した、後世にまで残る料理書を!」の命を受けて諸国を回る…というのが本作の基本設定であります。

 身も蓋もない言い方をすれば、「究極のメニュー」探しの時代劇版ですが、内容の方もグルメ漫画の三大パターンと言うべき「料理で人助け」「料理勝負」「食通凹まし」のうち、前二者を――特に人助けを――中心に描かれており、グルメ漫画としては水準の出来(最終回に、料理の基本に立ち返って、料理人の「心」の大切さを説くというのも定番中の定番)。
 時代ものとしても、普段は穏和な拓ノ進が、酒が入った途端に急に超強気になるという設定が、毎回色々と一悶着を起こすこととなって、なかなかに楽しめます。

 とはいえ、時代ものとグルメものという、縁があるようなないような二つの要素を違和感なくまとめたのは評価できるのですが、あくまでも水準の出来であってそれ以上でもそれ以下でもなく、また冒頭に触れたように伝奇要素もなければネタ要素も低め(拓ノ進の脇差が、伝説の包丁鍛冶・鐵休の打った包丁型脇差だったり、長崎編で登場するオランダ商人がよりによって「次郎長放浪記」のクーマン神父と瓜二つだったりというのは個人的に面白いのですが)の本作。
 それでも敢えて本作をここで取り上げたのは、原恵一郎先生の数少ない時代漫画の一つであり、また、正式に単行本化されずコンビニ売りコミックのみ、タイトルも「酔いどれ包丁」から「諸国グルメ放浪記」という身も蓋もないものに変えられてしまった本作を(全く恥ずかしながら、某氏に本をいただくまで、存在すら知りませんでした…)ここで書き留めておきたいと考えた次第です。

(にしてもリイド社は連載漫画の単行本化率が結構低く、本作のような形でコミック化されるのはまだましな方であり、全く単行本化されなかったり、されたとしても途中までだったり抜粋版だったりとファン泣かせであります。私ゃいまだに「慈恩」の続巻と「丹下左膳」の完全版をあきらめてないぞ…)


「諸国グルメ放浪記」(原恵一郎&青木健生 リイド社SPワイドポケット) Amazon

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コメント

『酔いどれ包丁』は、テーマの妙な取り合わせという制約下で、食欲も誘うし時代物としてもまあ読める、手堅くいい仕事してる漫画でした。
しかし改題がヒドかったですね。最初題名読んだとき「あれ? 本当に同じ漫画?」と一瞬疑いましたし。

投稿: a-kubota | 2008.02.24 09:15

あ~これこれ!好きだったんですよ。いつまでたっても単行本化されないと思ってたら・・・・・そういうことでしたか。

投稿: 富山 | 2008.02.25 20:56

a-kubota様:
そうそう、手堅いいい仕事なんですが、手堅すぎるのが玉に瑕…
ちなみに私は連載時は読んでいなかったのですが、コンビニ単行本のあまりのタイトルに、「これは連載時のタイトルではあるまい!」と調べたら…というところです。

富山様:
ああ、やはり被害は出ていたのですね…本文にも書きましたが、リイド社はこういうところが油断できません(突然過去作を意外な形で復活させてくれることもあるのですが…)

投稿: 三田主水 | 2008.02.28 00:50

ひさしぶりにおじゃまします。諸国グルメ放浪記、先日コンビニで見かけました。奥付を見ますと、平成18年に初版第一刷が出て今年第二刷がでています。六年ぶりの復活、ということになるのでしょうか。リイド社も苦境に?

投稿: 富山 | 2012.04.03 10:32

富山様:
どうもお久しぶりです。確かに再販出ていましたね。しかしここはこの作品がすごかったと思うことにしましょう(笑)

投稿: 三田主水 | 2012.04.05 00:25

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