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2008.02.28

「まぼろし城」 稚気溢れるビジュアルの楽しさ

 日本アルプス山中に築かれた怪城塞、それは奇怪な髑髏面に黒装束の怪人団・まぼろし武士のまぼろし城だった。日本征服のため、木曾義仲の末裔が守る「神州山絵図」を求めるまぼろし武士の前に単身立ち塞がった快男児…若き公儀隠密・木暮月之介とまぼろし城主の死闘の行方は!?

 黒装束に骸骨の絵を書いて骸骨が動いているように見せたり、そこまでいかなくとも悪人たちが髑髏面をつけているというのは、数十年前の少年小説などでは定番ネタだったように思います。
 先日紹介した鞍馬天狗の「山嶽党奇談」でも山嶽党がこれをやっていたのですが、それで思い出したのは、同じ「少年倶楽部」誌に連載された「まぼろし城」。公儀隠密・木暮月之介を主人公とした冒険活劇シリーズの一編ですが、これ、私結構好きなのです。

 何と言っても、日本アルプス山中に髑髏面の怪人たちが徳川幕府も手を出せないような城塞を築いているという設定が素晴らしい。しかもその名がまぼろし武士にまぼろし城! もうそれだけでお腹いっぱいですが、その頭首で奇怪な幻術を操るまぼろし城主の正体が実は○○○ときては、パーフェクトと言わざるを得ません。

 もちろん、現代の人間からすると――いやたぶん当時の大人にしても――まさに鬼面人を驚かすという体のものではありますが、しかし、その稚気溢れる突き抜けたセンスが、色々とひねくれた人間にとっては、直球ど真ん中のエンターテイメントとして、かえって新鮮に映るのです。

 何よりも、峻厳たる山中に潜む髑髏面の群れと、それに立ち向かう若武者、というビジュアルが、ベタながら心躍るではないですか。(というか、ノリ的には今日日の伝奇時代アクションゲームとあまり変わらないような…)
 後に桑田次郎氏により本作が漫画化されているのも、このビジュアルの楽しさによるものではないかな、と思います

 高垣眸先生の時代ものとしては、やはり「怪傑黒頭巾」の方が代表作として挙げられるのだろうとは思いますが、私としては、この「まぼろし城」(と一連の木暮月之介もの)の方がより気に入っているところです。


「まぼろし城」(高垣眸 国書刊行会ほか) Amazon

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