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2008.02.14

「髑髏菩薩」 良くできた作品ながらも…

 長崎での医学修行から江戸に帰った青年・志垣数馬を待っていたのは、許嫁・しのの父で公儀隠密の倉地新五郎が殺害され、しのが行方不明となったとの知らせだった。任地から新五郎が持ち帰った髑髏菩薩の絵図の存在を知った数馬は、この謎を解き、しのを救わんとするが、その前に出羽魔道衆を名乗る一団が立ち塞がる。

 先日ご紹介した「あやかし同心 死霊狩り」に登場した長崎帰りの医師でフェンシング剣法の使い手の志垣青年の原型が登場するのが、本作「髑髏菩薩」であります。

 約十五年前に発表された本作をこの機会に読み返してみましたが、颯爽とした主人公に可憐なヒロイン、義侠心に富んだ仲間、そして謎を秘めた秘宝と、邪悪な怪人たち…まさに時代伝奇小説の王道を往くような道具立てがやっぱり楽しい。
 意外と珍しい、主人公の日本刀を用いたフェンシング剣法や、出羽魔道衆の首領・跡部幻夢斎の存在感など(ちなみにこの幻夢斎、モデルはやっぱり「風雲将棋谷」の蠍道人黄虫呵なのかしらん)もあって、なかなか良くできた作品という印象は、初読の時と変わりません。特に蜘蛛嫌いの人間にとってはなんだか無償におっかなくて…

 が、正直なところ、逆に言えば、「なかなか良くできた」以上の作品でないのもまた事実。この小説ならでは! という要素が――上記に挙げたのを除けば――薄目なのが残念なところです。そのまとまりの良さが、逆にインパクトを薄めている…と言っては失礼にすぎるでしょうか(クライマックスの大爆破っぷりはものすごいのですが。っていうかひどい主人公だな)
 もちろん、さすが大ベテランの加納一朗先生だけあって、一個のエンターテイメント小説としての完成度は高く、ファンであれば読んでも損はない作品であり、これは私の贅沢の言い過ぎですが…


「髑髏菩薩」(加納一朗 フタバノベルス) Amazon

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