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2008.03.21

「豪談真田軍記」 ダイナミックな幸村伝

 永井豪とダイナミックプロが、一時期連続して刊行していた永井版講談「豪談」シリーズは、基本的に一作一作は独立しているのですが、その中で数少ない連続もの(というか設定・時間軸がつながっているもの)が、「豪談猿飛佐助」「豪談霧隠才蔵」そしてこの「豪談真田軍記」です。
 前二作は以前にも取り上げたのですが、まだこのブログでは紹介していなかった「豪談真田軍記」を、コンビニコミックで再刊されたこともあり紹介しましょう。

 本作の主人公となるのは、タイトルにある通り、真田幸村とその十勇士。そしてもちろん(?)彼らの活躍の舞台は、大坂の陣ということになります。
 しかしあの永井豪とダイナミックプロが描くのですから、普通の大坂の陣になるわけがありません。何せ、本作を含めた上記三作品での真田家と十勇士は、日本の先住民族・山の民の末裔たる超能力者たちなのですから――

 日本には、かつて自然と交感することにより特異な力を発揮しつつも、仏教等外来のモノに追われて山に移り住んだ覡(シャーマニックな存在)・山の民がいた、というのが三作品の基本設定。
 この設定の下に、「~猿飛佐助」では佐助と、道を違えた同族たる石川五右衛門・服部半蔵との戦いが、そして「~霧隠才蔵」では新たに日本に現れた南蛮の神の信奉者との戦いが描かれるのですが、さて、それでは最終作たる本作で、彼らが戦う敵――徳川家康の背後に潜む本当の敵――は何か?
 それについてはここではっきりとは書きませんが、いかにも永井豪的、いかにもダイナミックプロ的な豪快なブッ飛ばしぶりながらも、この基本設定の下で行われる戦国時代最後の死闘でヒーローたちが敵に回すにピッタリの怪物と言えます(題材的にはよくあるものなのですが、そこに山の民の設定が絡んだことで一味違うものとなっているのは面白いところ)。

 まあ、大抵の人は幸村の最終兵器に頭を抱えるかもしれませんが、時代伝奇ファンであれば大いに楽しめることは間違いない本作。
 戦国ものの常連ヒーローでありながら、祭祀者として描かれたことが非常に少ない(他には朝松健先生の真田三部作くらいではないかしらん)真田幸村を中心に据えた奇想は、まさしく永井豪ならでは、といったところでしょう。
 前二作を読んだ方はぜひ本作も、そして本作を先に読んだ方は前二冊も是非ご覧いただきたいものです(丁度こちらもコンビニコミック化されているようですので――)。


「豪談真田軍記」(永井豪とダイナミックプロ リイド文庫ほか) Amazon

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