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2008.03.13

「お江戸の「都市伝説」」 江戸怪談初心者に

 当方、時代伝奇以外の大好物は実話怪談なのですが、その反面で都市伝説というものがちょっと苦手であったりします。そもそもその違いを述べるだけで一つ記事になってしまいそうなのでここでは省きますが、やっぱりこの二つは別物だよなあ…と。
 と、そんな私でも見逃せなかったのが本書。タイトルからして、明らかに昨今の都市伝説ブームを当て込んだ一冊ですが、しかしいろいろな意味で面白い一冊なのです。

 「都市伝説の原点は、江戸時代にあった!」というキャッチの本書に掲載されているのは、江戸時代の怪談奇談、巷説の類。怪奇現象に妖怪・幽霊、怪事件に著名人の噂…と、なるほど、江戸時代の、という冠がなければ、いわゆる都市伝説本の中身。
 これを、大体一つのネタにつき、文章が一、二ページ、それにイラストが一ページほどつくという構成になっています。

 そのベース、ネタ元となっているのは、江戸時代の随筆・巷説書・怪談本の類。題材はこの世界ではメジャーな(?)ものがほとんどで、原典に当たっているような怪談好きにとっては新味のないものばかり。それも、原典の存在に触れていないものも多く、せめて記事の末尾に原典のタイトルだけでも掲載してくれれば、そこから興味を持った方がそちらに当たることもできるのに…と感じます。

 もっとも、こんなのはマニアの見方以外のなにものでもなく、本書がターゲットとしている読者層からすれば、それは不要な情報ということなのでしょう。肩の力を抜いて、「へえ、こんなことがあったのね」と楽しんでもらえれば、本書の役割は果たされるのでしょう。
 であるとすれば、本書は立派にその用を果たしていると言えます。エピソード数も多いですし、ちょっと今更こんなネタは…というのを除けば(雪女とか鬼婆とか)、江戸怪談の初心者には、かなり目新しい内容なのではないかと思う次第です。


 ちなみに――タチの悪いマニア的な観点からすると、記事につけられたイラストが良くも悪くも大仰で、何というか、往年のジャガーバックスとかその辺りの妖怪本・怪談本的な味わいもちょっとあって、そういう方向からも楽しんでしめる…というのは明らかに間違った視点ですが、それもまた魅力ということで一つ。


「お江戸の「都市伝説」」(PHP文庫 日本博学倶楽部) Amazon

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