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2008.04.12

「アイゼンファウスト 天保忍者伝」 第1話「正義」

 最近は紙媒体の雑誌のみならず、webによる漫画連載が増えてきて、チェックするのがなかなか大変になってきたのですが、そんなこちらの隙を突くかの如く、講談社のWeb漫画サイトMiChao!でとんでもない漫画の連載が開始されました。
 タイトルは「アイゼンファウスト 天保忍者伝」。原作は山田風太郎「忍者黒白草紙」、描くは長谷川哲也…いやはや、全く予想もしなかった組み合わせです。

 長谷川哲也先生と言えば、血みどろ狂人豪傑戦記「ナポレオン 獅子の時代」が絶賛連載中ですが、本サイト的には連作怪奇剣豪伝奇「神幻暗夜行」を挙げたいところ。それからだいぶん間を置いての、久しぶりの和物の伝奇作品であります。

 さて原作の「忍者黒白草紙」は、江戸南町奉行・鳥居耀蔵の命を受けて世のためにならぬ悪に鉄槌を下す正義感の忍者・箒天四郎と、その友人にして妨害者たる皮肉屋の忍者・塵ノ辻空也の対決を通じて、天保の複雑怪奇な人間模様を描き出した作品。正直なところ、山風作品の中では、派手な忍法バトルが展開されるわけでもなく、また内容的に結構重いこともあって、かなり地味な印象の作品です(そのせいか、単行本化は実に四半世紀以上前、角川文庫で刊行されたのが唯一でありますて以来行われていない状況です)。

 それではその漫画化たる本作はといえば、第一話の今回はまだまだ導入部ではありますが、早くも長谷川節漂う展開。辻斬り武士に対し、奇怪な縫い目の忍法で天誅を下し「これは正義だ」と嘯く天四郎。脳天気なエロキャラかと思えば、顔色一つ変えずに○○○○を瞬殺してのける空也…
 同じMiChao!では、以前から島崎譲先生により、「おんな牢秘抄」の漫画化たる「花かんざし捕物帖」が、かなり原作に忠実な内容で連載されていますが、本作は初めから独自路線を行く様子であります。が、これはむしろ作画・原作者の双方のファンである私としては望むところ、果たしてどこを生かしてどこを崩してくるのか、実に楽しみです。
(例えば今回、空也にエロ忍法をかけられそうになった御徒目付の娘・お史は原作にも登場するキャラですし…)
 唯一、原作でも素で長谷川キャラっぽかった鳥居耀蔵が、普通のビジュアルだったのはちと意外でしたが、こちらの本領発揮はこれから、でしょう。

 タイトルとなっている「アイゼンファウスト」とは「鉄拳」の意ですが、「鉄拳」という言葉には、固い拳という意味に加えて、正義のために悪人を懲らしめる拳という意味もあります。天四郎と空也、二人の鉄拳が天保という時代の中でどこに向けられるのか…先が読めない物語に期待します。


※原作の単行本化は、改題前の「天保忍法帖」で実業之日本社から行われているとのご指摘をいただきました。伏して御礼申し上げるとともに、謹んで修正させていただきます。

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