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2008.04.23

「デアマンテ 天領華闘牌」第1巻 二つの「もう一つの国」で

 長崎で暮らす平凡な少女・かなの運命は、父が出島で偽金作りの罪を着せられ、獄中で死んだことから一変する。父の名誉のため、そして弟の命を救うため、かなは遊女となって事件の裏を探ることを決意する。 そして丸山遊郭一の遊女・金剛の禿となったかなだが、金剛もまた、ある秘密を持っていた…

 江戸時代の遊郭といえば、現代の我々から見ると全くの別世界、外界とは別のルールで運営されるもう一つの国、というイメージがあります。
 そしてもう一カ所、江戸時代においては、外界から隔絶されたもう一つの国と言うべき世界がありました。それが長崎の出島であることは言うまでもありません。

 本作の舞台となるのは、そんな二つの「もう一つの国」が重なった世界であります。
 江戸の吉原と並ぶ遊里で知られる長崎丸山でで暮らす遊女たちは、役人たちを除き、出島に出入りできるほとんど唯一の存在。言い換えれば、外界と遊郭、そして出島と三つの国を出入りしていたということであり、その彼女たちがどのような想いで暮らし、何を見てきたのか…考えるだに魅惑的な題材です。

 この第一巻の時点では、まだまだ物語はプロローグの印象、レギュラーキャラと設定の紹介編といった感が強いのですが、しかし、現時点で既に、この本作ならではの題材を生かした物語構成となっており、この先の展開に大いに期待が持てます。
 まだ状況に流されている部分はあるものの、その瞳の底に強いものを秘めたヒロイン・かな。そして表の顔は丸山一の美女ながら、裏の顔はジャッカー電撃隊…いや舞台的にも設定的にも長崎犯科帳なもう一人のヒロイン(?)金剛。

 二人の出会いがこの先どのような物語を描いていくことになるのか。三つの国で彼女たちが何を見ることになるのか――描くは碧也ぴんく氏、女性らしい柔らかな描線の中に凛としたものがある作風は、まず本作にはうってつけであり、これは期待できそうです。
(時代考証については、まああまり気にしないことにします)


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