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2008.04.04

「ガゴゼ」第4巻 走り始めた物語

 室町暗黒伝奇コミック「ガゴゼ」の最新第四巻が発売されました。第一巻から興味深く読んできた本作ですが、この四巻に至って一気に物語が走り始めた感があり、これまで以上に盛り上がってきました。

 この巻のメインとなるのは、力を失ったガゴゼが、各地に散った己の力の欠片を求めて旅し、そしてそれを取り込んだ/それが具現化した妖魔たちと対決する一連のエピソード。
 ここで描かれるのは、単発エピソードの連続的内容ではありますが、しかし、人間たち、そして妖魔たちと触れ合ううちに、徐々に人間的な感情を持つようになっていくガゴゼの姿は――お約束的と言えば言えますが――なかなか魅力的です。
 そしてそれと同時に、各地での冒険の中で、彼自身も知らぬガゴゼの正体を巡る情報が、少しずつ描かれていくのは、何ともエキサイティングであります。特に、力を失って初めて子供の姿になったはずのガゴゼと、瓜二つの少年神の伝承の登場には、何と言いますか、素晴らしく伝奇的な味わいがあって、大いに胸躍らされたことです。

 さて、ガゴゼが前面に出てきた一方で、彼の宿敵とも言える美少年陰陽師・土御門有盛の方は、登場する場面数こそ少し減りましたが、しかし、その活躍(暗躍)は、ある意味、これまで以上に鮮烈。
 特にこの巻では、彼が常に仮面をつけている理由である、額のもう一対の目の由来が明かされると同時に、全く予想もしていなかったような彼の「正体」の一端も明かされ、いわば物語のもう一方の主役として、ドラマを大いに盛り上げています。

 何はともあれ、ガゴゼが主人公として主体的に活躍しはじめて、物語が佳境に入ったという感がある本作。
 ガゴゼの正体は、有盛の真の目的はなんなのか。有盛を裏切ってガゴゼに付いた式神・青龍は、また今なお腹の底の見えぬ足利義満は如何に動くのか。ラストには、ガゴゼにとっては運命の女性とも言うべきあのキャラクターが、思いもよらぬ形で再登場し、この先の展開が、全く予想はつかぬものの、しかし、実に楽しみな作品になってきたことです。


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