「闇鍵師」第4巻 ひとまずのお別れ
赤名修と中島かずきという異色ながらも黄金コンビの伝奇時代漫画「闇鍵師」も、残念ながらこの第四巻で第一部完。錠之介の枢り屋稼業ともひとまずお別れですが、しかし、最後の最後まで、期待通りの魅力溢れる作品でありました。
第四巻に収録されているのは、前の巻から続く長編エピソード「秘錠の密偵」の完結編と、錠之介とお琴の出会いを描く過去編「吉兆の盗賊」の二つのエピソードであります。
最強の魔が憑いた薩摩隠密団の首領との死闘を描く「秘錠の密偵」は、本書に収録された部分は、舞台で言えば第二幕の後半とでも表すべき辺り、つまりは一気に盛り上がるクライマックス部分。
本作は、人情話色のある短編連作が中心のためか、さほど「新感線」っぽさは感じなかったのですが、この「秘錠の密偵」の終盤から感じられるのは、見事なまでの「新感線」テイスト。
一度は撃退した敵は力を蓄えて完全体とも言うべき存在と化し、対する主人公たちは、わずかに数人の仲間を残すのみ。しかし――というシチュエーションから展開される浅草寺決戦は、実に舞台的な設定ながら、しかし舞台では絶対に再現不可能な魔の描写がふんだんに盛り込まれており、長編にふさわしい見事な盛り上がりだったかと思います。
(個人的には、鉄拾が秘密兵器を打ち始める辺りから、猛烈な高揚感を感じました。このシーンの鉄拾の台詞、橋本じゅんさんの声で聞こえてきました、というのは誉め言葉になっているかしら)
一方の「吉兆の盗賊」は、シリーズ初期の雰囲気に戻った、人の心の中の闇を描いた物語となっており、ド派手な長編の後ではさすがにおとなしくは見えましたが、やはり凄絶な魔の――それも顕在化したものよりも人の心に巣くうものの――描写が圧倒的で、やはりよくできたエピソードかと思います。
こうして見ると、まだまだいくらでもイケる作品だとは思いますが、これだけのクオリティを維持し続けるのは、確かに相当に骨ではあるのかもしれません。
お別れは残念ですが、しかし例えば年に一度のスペシャル編的な形などで、また錠之介たちの活躍を見れないものかな、と思う次第です。
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