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2008.04.19

「老虎大難 吉宗影御用」 老虎、最後の戦い

 田沼意次の下で影の御用を務める四ツ目屋の呆庵は、かけがえのない師であり今は故郷である朝鮮に帰った植芝喜平が、朝鮮王の逆鱗に触れ幽閉されたと知る。救出のため対馬に向かった呆庵だが、喜平は監獄の島・煉獄島に囚われていた。一方、江戸に残った仲間たちは、隠居旗本の家を襲った災禍の謎を探るうちに、ある男の存在に辿り着くが…

 磐紀一郎(=石津嵐)先生の代表作「吉宗影御用」シリーズ三部作ラストの本作がなかなか文庫化されないので、待ちきれずに単行本で読みました。
 吉宗の影御用を務めた老人・植芝喜平の驚くべき正体を描いた「吉宗影御用」、喜平の跡を継いだ呆庵が江戸城を魔界と変えた陰陽師に挑む「陰陽の城」に続く本作は、再び喜平が登場、最後の戦いに挑みます。

 ストーリーとしては、師の大難を知った呆庵が向かった対馬及び朝鮮煉獄島での冒険と、喜平の親友だった隠居旗本の息子夫婦の死の謎を残る影御用の仲間たちの江戸での探索の二つのパートで物語が展開し、最後に結びつくという構成。

 特に面白いのは、やはり呆庵の方のパートで、激しい潮流に守られた天然の要害に、呆庵が如何に潜入し、そして喜平を連れて脱出するかという展開は、冒険小説的な味わいがあります。李舜臣の血を引く喜平らが、煉獄島脱出に使用するのが先祖縁のアレというのもまた嬉しいところです。

 が…江戸パートの方は、正直なところ、必殺の亜流的印象で、一度は去った喜平を再び引っ張り出したにしては、敵が――正体自体は大物なのですが、存在感や言動が――小物であったのがあまりにも残念。題材自体は悪くなく、水準の作品ではあるのですが、三部作のラストにしてはもったいない出来だったという印象です。
 前作が文庫化にあたって加筆修正されたように、本作もそのような形で文庫されるのではないか――と、今は勝手に期待している次第です。


「老虎大難 吉宗影御用」(磐紀一郎 徳間書店) Amazon

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