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2008.04.29

今週の「Y十M 柳生忍法帖」 隻眼vs隻腕

 前回はブチブチ言ってしまいましたが、やっぱり面白いです「Y十M 柳生忍法帖」。今週はいよいよ会津七本槍最後の一人、隻腕の剣鬼・漆戸虹七郎と十兵衛の大決闘であります。

 敵陣のど真ん中もど真ん中、厳戒態勢の公開処刑の場に単身現れた十兵衛。ある意味、これは最初に城に乗り込んだときよりも無茶なシチュエーションでは…と思いきや、そこで十兵衛が銅伯とおゆらを捕らえたとハッタリ発言。
 冷静に考えれば色々と無理がありますが、何よりも実際に十兵衛が自由になってその場にいることがなによりも説得力、それ以上に、十兵衛に「(決闘)やらないか」と言われて完全にその気になった虹七郎のおかげで、場はすっかり十兵衛ペースであります。

 そして始まる最後の決闘を見守るのは、逆さ磔にされて顔がアップになるとちょっと見分けのつきにくいほりにょの皆さんだけではなく、あんちゃあ娘やニセおとねさんのお菊さんと妹、さらに甲州流十面埋伏の計の謎の軍師さんまで、懐かしい顔ぶれ。
(こうして見ると、お坊さんたちは本当に死んでしまったのだなあ、とちょっとしみじみ…)

 そして、二人の間で徐々に高まる緊張感を示すかのように細かい、そして変則的なコマ割りの見開きページから――
 まさしく一閃! というほかない素晴らしいスピード感の一瞬の交錯…

 そして飛びすさった十兵衛と虹七郎、十兵衛の隻眼の上には、交わるように新たな傷が。さて、一方の虹七郎は…という、まことにニクい場面で、隻眼vs隻腕の決闘の決着は、次回にお預けに。


 いやはや、原作においてもこの決闘は、山風先生一流の筆でもって緊迫感溢れる名シーンだったのですが、それを漫画として咀嚼した上で再構築してみせたこの「Y十M」の方も、負けず劣らず見事な決闘シーンになったかと思います。

 これまで何度も書いてきたことではありますが、漫画という紙の上に固定された画のメディアでありながら、せがわ先生の画は、その中に確実に動きを感じさせてくれます(当然のようでいて、これをきちんとできている作品は存外少ないのです)。
 チャンチャンバラバラと派手に斬り結ぶシーンは、むしろ動きは見せやすいものですが、今回のように、一瞬の交錯の中に動きを感じさせるのは、存外に難しいもの。それを、このせがわ先生の筆は、見事に成し遂げていると言えます。

 …一瞬の、と言えば、ケイトさんのところの感想を読むまで、橋の上から虹七郎の剣をかわし、堀を越えて広場に跳ぶ十兵衛とという名シーンがあったのを完璧に忘れていましたが(なにやってるんですが自称原作ファンの三田さん)、そのシーンが抜けていても今回の満足度は非常に高かったと言えます。

 それにしてもあのサブタイトルは最終回まで取っておくつもりかしらん。それはそれでOKですが。

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