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2008.05.29

「戦国ゾンビ 百鬼の乱」第1巻 壮絶ゾンビ時代劇堂々の開幕

 徳川家康らの連合軍の前に風前の灯となった武田家。武田家直衛の赤葬兵副隊長・土屋昌恒らは、武田勝頼の一子・信勝を守って天目山に向かう。が、敵に追われ洞窟に逃げ込んだ一行を待っていたのは、人のようで人であらぬ死身の怪物たちの襲撃だった。武田・徳川を問わず襲いかかる怪物たちの正体は…

 タイトルを目にしたときから、これはっと思っていた作品の単行本第一巻が発売されました。「戦国ゾンビ」…一歩間違えれば冗談のような内容ですが、本気も本気、武田家が滅亡した天目山の戦いを舞台に、ロメロ調のゾンビ――すなわち、単なる歩く死体ではなく、積極的に人を喰らい、吸血鬼的に仲間を増殖させていくあれ――が大暴れする怪作…いや快作であります。

 この第一巻は、まだまだ物語の導入部といったところ。一口に言えば、天目山に逃れた武田信勝一行(と武田本隊、さらには徳川らの連合軍)が、生ける死者の群れに襲撃される、というそれだけの内容なのですが、荒削りながらなかなかに迫力がある絵柄の前に、細かいこと(?)は気になりません。
 生ける死者が何者なのか、どこから来て、何のために戦うのか、それはまだ全くわからないのですが――とにかくそんなことを考えている暇があったら、戦え! 逃げろ! と言わんばかりの地獄絵図であります。
(どのくらい地獄かといえば、丸太が欲しくなるくらい)

 この生ける死者の群れに、信勝を守って戦いを挑むのは、武田家精鋭の赤葬兵七人衆。
天目山の戦では片手で千人を斬ったという逸話が残る土屋昌恒を筆頭に、いずれも一芸に秀でたプロの戦士たちが、死なずの怪物たちを向こうに回して如何に合戦するのか、これは大いに興味をそそられます。
 実は姫だった信勝、実は生きて天目山の地下で一行を待つ山本勘助(…たぶん犯人はこの人でしょうな)といい、伝奇的なガジェットも面白い本作、これは今後も要チェックです。


 ちなみに…時代劇にゾンビ、というのは、もちろん珍しくはありますが、絶無ではありません。
 平賀源内がゾンビ軍団を率いて江戸を騒がす都筑道夫の「神州魔法陣」をはじめとして、ゾンビ大好きの菊地秀行の時代ものには、しばしばゾンビテーマがありますし、火坂雅志にも、関ヶ原を舞台としたゾンビ大戦「関ヶ原幻魔帖」があります。そして最近では、おそらく色々な意味で最低最悪のゾンビ軍団が登場した荒山徹の「魔風海峡」がありました。

 本作もこの豊穣な(?)ゾンビ時代劇に連なるものとして、期待したいと思います。


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コメント

このエントリ見た瞬間うずうずして昨夜早速買いに行ってしまいました。

主人公もマイナーながらかっこいいエピソードの持ち主ですし(しかも史実だともう命数いくばくも残ってない・・・)、これまた楽しみな作品が出てきましたねhappy02(幻冬舎はなにげにこの手の変り種時代物が多くて侮れません)


通常単行本にまとまる量ともなれば、決定的とまでは言わないまでもなんらかのゾンビへの対処法なりヒントが示されるものですが、何一つ対抗の手立てが無い状態であの数とご対面は容赦なさすぎ A ̄□ ̄;)

とにかく逃げて!!笑

投稿: 伯爵 | 2008.05.30 19:33

いやー伯爵様のような同好の士であれば、絶対楽しんでいただけると思っていました(しかし幻冬舎は本当に伝奇時代ものが好きですなあ…)。

本文に書いたとおり、本当に第一巻はゾンビ襲撃! だけで、ゾンビの正体も対処法もわからないのが恐ろしい。いや、本当に先が楽しみです。

投稿: 三田主水 | 2008.05.31 02:21

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