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2008.05.22

「豪談武蔵坊弁慶」 「ダイナミック」な豪傑伝

 荒れ果てた京の都で、孤児たちを組織して、横暴を極める平氏に立ち向かう人間離れした巨体の荒法師・弁慶。諸悪の根元である平清盛を倒すべく、千里眼を持つ兄弟子・源空と共に戦いを挑む弁慶だが、清盛の背後には、強大な魔人・闇の帝がいた――

 あまりにブッ飛び過ぎている作品もあって普通の読者はどう思うかわからないけれども、私にとっては実に面白い永井豪版講談、豪談サムライワールドの中で唯一平安時代を舞台としているのがこの「豪談 武蔵坊弁慶」であります。

 言うまでもなくあの源義経の一の家来である弁慶のお話なのですが、もちろん豪談で描かれる以上、ただの弁慶譚ですむわけがない。平氏の背後には、奇怪な妖術を操る闇の帝(闇の帝王みたいですな)が存在し、そこに一種の超能力者である源空(あの有名人の前身であります)、そして義経が絡んで一大伝奇バトルが繰り広げられることになります。

 本作では、石川賢先生が構成/演出/下描きを、豪先生と共に担当しているだけあって、随所に「らしい」シーンが炸裂。お二人の分担割合は、作品から想像するしかありませんが、特に妖術・怪物シーン絡みはかなりの部分、賢先生ではないかしらん(比叡山で弁慶を襲うやたらフリーキーな僧兵どもはどうみても賢先生のセンスだろうなあ)。

 まあ、そんな中途半端なマニアックな見方はさておき、本作の最大の魅力は、やはり弁慶の豪快過ぎる大暴れでしょう。その巨体にものをいわせ、侍だろうが僧兵だろうがあたるを幸いなぎ倒す弁慶の姿は、紛れもなく「ダイナミック」な豪傑そのもの。
 特に後半のクライマックス、囚われの源空とヒロインを救うために、単身清盛邸に弁慶が殴り込みをかけるシーン(釣り鐘をかぶって突撃!)など、気持ちのいいほどの暴れっぷりでありました。

 闇の帝の正体が○○○○というのは、同じ平安時代から安直に引っ張ってきた感がなきにしもあらずですが、まあ、あの人物をここまで化け物に仕立てあげたのもまたダイナミックイズム、と言うべきでしょうか。
 ラストの義経・弁慶主従の、これまた「らしい」台詞もきっちり決まって、理屈抜きに楽しめる一編でありました。


「豪談武蔵坊弁慶」(永井豪とダイナミックプロ リイド文庫) Amazon

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