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2008.06.28

「愛しの焔 ゆめまぼろしのごとく」第1巻 戦国メロドラマ開幕

 Webコミック連載第一回に一部で話題になった、明智光秀を主人公とした戦国メロドラマ(?)「愛しの焔」の単行本第一巻であります。以下、本編のネタバレがございますので要注意。

 時は天文十七年――己が身を寄せる斎藤道三が、娘の帰蝶を尾張のうつけ・織田信長に嫁がせることを知った光秀。幼い頃から共に育ち、また自分を慕ってきた帰蝶との別れを前にして、光秀が取った策は、帰蝶の侍女・蜜(ミツ)として輿入れに付いていくというもの(第一の「えーっ」)。
 しかしその女とは思えぬ度胸を見せられた信長は蜜に惚れ込み、こともあろうに新床の晩にミツの唇を奪ってしまうのでありました(第二の「えーっ」)! …と、この辺りでこれは私の読んではいけない漫画なのではないかと思いつつ、とりあえず第一回ラストまでは…と思って先を読んでみれば、二人が揉み合う中、はだけた光秀の着物から見えた膨らみは…明智光秀! 君は女!(第三の「えーっ」)

 いやはや、第一回から「えーっ」三連発、BLかと思いきや真っ当な(?)お話で、私としては安心しつつも、こういうやり方か! と膝を打った次第。
 萌えとかそういうもの抜きで、戦国武将が実は女だった、という話は、矢切止夫先生の「上杉謙信は女だった」に代表されるような上杉謙信ネタから、最近では織田信長や伊達政宗を女性にした作品も発表されていますが、明智光秀を女性にした作品は、ちょっとすぐには思いつかないような気がいたします。

 そして本作は光秀を女性にしただけではなく、その光秀に信長が惚れ、しかし光秀自身は道三のことを…(一見、百合ん百合んに見えた帰蝶との間柄が、道三を通して見るとまた違って見えてくるのがうまい)というドロドロ展開。物語の冒頭では、本能寺で信長と光秀が対峙するシーンが先取りして描かれますが、果たしてここに至るまでになにがあったのか…色々と気になります。


 しかし、現時点でどうにも気になってしまうのは、この光秀女性化に、物語の上での必然性が感じられないことであります。極端なことを言ってしまえば、別に光秀が男のままでも話は成立するのではないか、ということで、光秀を女とすることが、、史実に意外な(説得力のある)解釈を生んだり、歴史を動かす原動力になるとは、現時点ではさほど感じられないのです(上記の道三への想い、というのはありますが、これだけではちょっと弱い)。

 もちろん、これはやはりまだ第一巻の段階で言うのは時期尚早かもしれません。少なくとも絵柄、描写力の点では、これが初単行本化作品とは思えないほどに安定しておりますし、一風変わった戦国メロドラマとして読む分には全く問題はありませんので――
 この先、本作ならではの説得力ある、新たな光秀像が描かれることを期待いたします。


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コメント

 カバー裏に予告編っぽいものが載っていて、秀吉とか足利義昭とかが先行登場していたのですが、秀吉はともかく義昭がちょっとビックリな感じでしたね。
 義昭と信長の仲たがいの原因が光秀になるんじゃないかと、今からドキドキしています。

投稿: どぶろく | 2008.06.28 22:42

恥ずかしながらコメントを拝見するまでカバー裏に気付いていませんでした(汗)
もう一人の新顔は蘭丸でしょうかね。

しかし上では必然性云々言いましたが、信長と周囲の大名が不仲になる理由が光秀というのであれば十分納得がいきます!(いいのかそれで)

投稿: 三田主水 | 2008.06.30 00:27

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