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2008.06.18

「バーニングヘル 大焦熱地獄」第1回 地獄の釜の蓋、開く

 表紙のカットを見て、「これは時代伝奇の匂い…」と手に取ってみたのは今週のビッグコミックスピリッツ。その予感はどうやら当たったらしく、梁慶一&尹仁完の「新暗行御史」コンビによる新連載「バーニングヘル 大焦熱地獄」は、一読、先の展開が気になる壮絶な作品でありました。

 舞台となるのは日本で言えば江戸時代、日本と朝鮮の真ん中に位置する絶海の孤島・極島。朝鮮では乱倫の罪人を、日本では凶悪な罪人を――共に流刑地として利用していたその島に、日本から新たな罪人が送り込まれる場面から物語は始まります。
 その罪人の名はジュウ(妙な名前…)、千人以上の武士を殺し、その肉を喰らったという文字通りの食人鬼ですが、厳重に封印されていた箱の中から彼は脱出、火縄銃もものとはせず、殺して殺して殺しまくる…といういきなりの惨劇。何せ、本土から彼を連れてきた役人たちが、とにかく船で逃げるしかないくらいですからほとんど怪獣並みの暴れっぷりです。

 が、島に一人残され、食物を求めて彷徨う内に何者かの罠に嵌った彼が、意識を取り戻してみたものは、無残に生皮を剥がれた無数の人体。これを成したのは、朝鮮の医師ながら連続殺人と死体解剖の罪で流刑となったキン・ハンなる美青年。人を生きながらに解剖することに悦びを覚えるキムに片目を潰された上、今にも解体されそうになるジュウは、怒りに燃えて反撃を開始し、二人の刃が交わって――

 と次の場面は一年後、極島に現れたのは、紅骸骨団なる海賊の船。ある「お宝」を奪い取ってこの島に逃れてきた海賊たちの前に現れ、凶刃を振るうのは、一年前の決闘で生き残ったのか、ジュウその人――というところで第一回はおしまいであります。

 とにかく、登場人物のほとんど全てがキチガイ(殺人鬼)かその犠牲者、という実に恐ろしい本作、先の展開が本当に全く読めないのですが、さすがに梁慶一の筆の描写力は凄まじく、ただただその勢いだけでこの連載第一回は疑問を差し挟む間もなく一気に読み切ってしまいました。
 なるほど物語が始まった次の瞬間から、無造作に死がばらまかれていく本作を「地獄」とはよく言ったもの。誰一人とて感情移入できそうにない怪人たちが集まっての物語は、これからどういった展開を見せるにせよ、血で血を洗う阿鼻叫喚の巷とならざるを得ないでしょう。

 個人的に気になったのは、紅骸骨団の船長・マクマホン(この船長も、一睨みで人間を破裂させるなど、どう見ても常人ではありませんが)の口から出た「偉大なる“ロア”」という言葉。
 ロアと聞いて真っ先に思い出すのはブードゥー教の精霊の名ですが…仮にこのロアがブードゥーのロアであれば、死人で溢れる極島には、あまりに似合いすぎることになりますが、さて…

 なお、本作は四号連続合計112ページのシリーズ連載とのこと。四号連載して一休みとなるのか、四話で完結ということになるのかはわかりませんが、まずはこの一ヶ月間、蓋が開いた地獄の釜の中身を、見せていただくこととしましょう。


 しかし片目でジュウ…まさかね

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