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2008.07.25

「裏宗家四代目服部半蔵花録」第1巻 遺された者たちの死闘

 戦乱も収まり、平穏の中にある江戸…が、その闇の中で暗躍する戦国の遺風を残す忍者たちの姿があった。表の顔は団子屋の看板娘・お花、しかしてその正体は忍びの間で畏怖と共に語られる裏宗家四代目服部半蔵花録は、奇怪な術を操る忍者たちと死闘を繰り広げる。

 事あるごとに書いているのですが、時代ものに非常に理解があるのが講談社の漫画雑誌。ほとんど一誌に一作品は掲載されているのではないかとすら感じますが、その中でもこの度単行本初登場となった本作は、「マガジンGREAT」誌に掲載されている作品です。

 一種のバトルヒロインものと言うべき本作、可愛いけれども超がつくどじっ娘という定番の(?)主人公・花が、裏に回れば超人的な忍法で、道を外れた忍者たちを次々に倒していくという展開は、よくあるパターンではありますが、敵味方の忍法とその描写がなかなかユニークで(特に毒使いと戦った際の主人公の技にはちょっとびっくり)、バトルものとしてはまず水準かと思います。

 しかし本作の最大の特色は――少なくとも序章二話においては――敵味方を問わず忍者を、戦国の遺物、既に世に身の置き場のない者たちとして描いている点でしょう。己の技を存分に生かせた時代は既に過去のものとなり、今は外道の手先として技を振るうしか己の存在意義を見いだせない…本作の悪役忍者は、そんな哀しい存在として描かれます。
 その一方で、彼らを止める花も、まだ少女ながらもその身に重過ぎる名を背負わされ、その手を汚して哀しい忍者たちを討たざるを得ないという陰を持ちます。特に、花が密かに想いを寄せる岡っ引の手下の青年が、忍びとしての花を――もちろん彼女が花とは気づいていないのですが――冷酷な殺人者と信じ込んでいるのが、何とも切ないことです。


 ――時代ものとして見た場合、考証にはかなり無頓着な私でも、これはちょっと…と思ってしまう部分もあるのですが、まあこれは今後の課題でしょう。
 まだまだ物語は始まったばかり、果たして花の背負う「裏宗家」の名の持つ意味は何なのか。花の里を滅ぼし、いままた行き場を失った忍者たちを操る黒幕の正体は何なのか――これからのドラマに期待します。


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