「諸刃の博徒 麒麟」第4巻・第5巻 時代を対手の大勝負
幕末を舞台に、己の身一つで巨大な相手と渡り合う博徒・麒麟の活躍を描いたコミック「諸刃の博徒 麒麟」の第四巻・第五巻が同時に発売されました。二冊でワンセットとなった表紙がなかなか印象的ですが、もちろん内容の方も負けてはいません。
収録されているのは、第三巻から引き続き、一橋慶喜との命を賭けた双六勝負「寄せ木の覇道」編、そして生麦事件の陰で繰り広げられた島津久光からの命を賭けた逃走劇「盛者の行進」編。
すっかり三人一組が板についた麒麟・トシ・直柔のチームワークも楽しく、巨大な権力を振りかざす相手に、知恵と度胸で立ち向かう麒麟たちの姿が実に痛快であります。
それにしても今回の対手である慶喜といい久光といい、本作では極端にカリカチュアされた嫌な嫌な嫌な奴として描写されており、少々驚かされます。
そこは漫画としてのキャラ立てではあるのですが、しかし二人を、ともに己は表に出ることなしに人を動かし、他者を傷つけて恥じない人物として描いているのが印象的です。
これはもちろん、己の命を的に、他者の命を救うために突っ走る麒麟との対比ですが、その一方で、彼らを歪めたものが、時代と社会から来る一種のコンプレックスであることがほのめかされているのも忘れてはいけないでしょう。
極端な言い方をすれば、麒麟が立ち向かう対手は時代の流れそのもの。無茶といえば本当に無茶な話ですが、しかしそれを一種の「ゲーム」の中で描くことで、いい意味で枠に嵌めてドラマにしている手法はなかなかのものと思えます。
それにしても、さすがに大物ばかりを対手にして大丈夫なのかしらんと心配になってくる麒麟。この五巻に続く、現在雑誌連載で進行中のエピソードは桂小五郎を――この桂もまさに上に述べたような人物として描写されているのですが――向こうに回し一暴れしているのですが、後の歴史を考えれば、さすがに心配になってきます。
トシや直柔との友情の行方も含めて、個々のエピソードのみならず、一つの長編ドラマとしても大いに気になるところです。
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