「源内妖変図譜 雷電霹靂の夜」 源内流乱学復活!
江戸を騒がす奇怪な焼死事件。その犠牲者はいずれも田沼意次派の幕閣の家族だった。田沼の依頼によって、気まぐれな平賀源内に代わり調査に乗り出した中川淳庵と杉田玄白は、奇怪な獣の姿を目撃するが――平賀源内の乱学は、如何にこの事件に挑むか!?
このドラマCD「源内妖変図譜 雷電霹靂の夜」は、私にとってはなかなかに感慨深い作品であります。あの「大江戸乱学事始」がここに復活を遂げたのですから…!
と、「大江戸乱学事始」とは何かと申し上げれば、それはかつて電撃文庫で刊行された、伝奇時代小説シリーズであります。大沼弘幸氏と、(故・)わたなべぢゅんいち氏の手になるこのシリーズは、平賀源内を中心に、杉田玄白、中川淳庵、山田浅右衛門といった面々が、様々な怪異に立ち向かうという内容で、傲岸不遜な源内のキャラクターもユニークで、なかなかに興味深い内容でありました。
しかし刊行レーベルの読者層に合わなかったか、残念ながら二作のみの刊行で途絶していたのですが――豈図らんや、それがドラマCDとなって復活するとは! 世の中、何があるか全くわからないものです。
最初に本作のことを耳にしたときは、同様の設定を使った別シリーズか、あるいはシリーズリスタートかとも思ったのですが、聞いてみれば、源内の古馴染みの退魔巫女兼花魁のお妖、源内の小姓の力弥など、シリーズオリジナルのキャラも健在、小説版の内容への言及もあり、はっきりと「大江戸乱学事始」の続編と言って間違いないと思います。
さて、本作自体の内容について言及が遅れましたが、さすがに大沼氏が脚本を担当しているだけあって、キャラの言動も全く違和感なく、またストーリー的にもそつなくまとまっていて、一時間前後というさほど長くない時間の中で、きっちりと物語世界を構築されていたかと思います。
歴史上の事実や、登場人物の説明(史実・オリジナル含めて)など、煩雑になりそうな部分も、力弥による語りでさらっとこなされているのもうまいものだと感心いたしました。
内容的には、火浣布の扱い方が定番のそれ――からは一ひねりしてあるのですが――にかなり近かったのが気になりましたが、これはある意味、源内ものの定番なので仕方ないところでしょう(火浣布製造の時期をきちんと史実に合わせて物語を作っているのは好感が持てます)。
さて、CDドラマということで本作のキャストはと言えば、
平賀源内 関智一
杉田玄白 高木渉
中川淳庵 山口勝平
山田浅右衛門 松本保典
お妖 三石琴乃
力弥 高山みなみ
と、ベテランどころで固めた布陣。主役三人は演劇ユニット「さんにんのかい」(現在休止中)つながりということでしょうか、掛け合いも堂に入ったものでした。
個人的には、どうもがらっぱちなキャラクターの印象が強い高木氏が、主役トリオの良心ともいえる温厚篤実な杉田玄白を見事に演じきっていたことに大いに感心させられたことです(やはりプロは素晴らしい…)。
本作の続編、「源内妖変図譜」第二弾についても、近日中に紹介したいと思います。
「源内妖変図譜 雷電霹靂の夜」(ウォーターオリオン CDソフト)
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