「人造人間あらわる! 帝都〈少年少女〉探偵団」 怪物、現実に逆襲す
「帝都少年少女探偵団」長編シリーズはこれで三作目。吸血鬼、透明人間ときて、今回は人造人間。言うまでもなく、フランケンシュタインの怪物であります。
ストーリー展開的には、前二作とほぼ同様で、奇怪な殺人事件の続発に立ち上がった探偵団と万朝報の面々が、犯人たる怪物と対決、その背後には怪物を使役する魔術師の更なる企みが…という内容。ここまで来ると大いなるワンパターンという印象であります。
さて、正直に申し上げれば、今回は前二作に比べるとちょっと…という印象。あまりにも意外な吸血鬼出現の「トリック」に驚かされた第一作、「今度は戦争だ」とばかりに、原作をある意味遙かに超えた展開が面白かった第二作と、前二作がいずれも古色蒼然とした怪物たちを登場させながらも、こちらの想像を上回る一ひねりを加えてきたのに対し、本作は「フランケンシュタインの怪物」という題材から想像される内容を、一歩も出ていないと言うほかありません。
もっとも、シリーズとして見れば、自らの怪物としての生を呪う怪物、というのは初めての存在であり(前作の透明人間は、使役されるのを厭っていたのでこれとは少し異なるでしょう)、その悲劇的な運命に対し、子供らしい純粋な優しさが示されるというのは、本シリーズならではの展開と言えるでしょう。
これに絡み、本の中の登場人物である怪物たちに対し、現実世界における「死」がいかなる意味を持つのか、という問いかけに近いものがあったのも目を引きます。
まあ、想定読者層の二、三倍の年齢の人間があれこれいうのも野暮、というよりもはや痛々しい話ではあります。
既にオリジナル(原作)の存在が現代の読者から遠いものとなり、その怪物のキャラクター自体が一人歩きしている現代。その創造主の名が怪物の名と混同されるほど、オリジナルの忘却が特に進んでいる(もっともこれは昨日今日のお話ではありませんが)フランケンシュタインの怪物が、現実に逆襲するというのは、やはり面白い試みであります。
というか、現代の若い衆はフランケンシュタインの怪物を知っているのかしらん? と一瞬思いましたが、考えてみれば「仮面ライダーキバ」にずいぶん端正な姿ながら登場していますし、そのものずばりを題材とした「エンバーミング」という作品もあるのでしたね。
「人造人間あらわる! 帝都〈少年少女〉探偵団」(楠木誠一郎 ジャイブ)

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