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2008.07.18

「図解里見八犬伝」 八犬伝世界のユニークな副読本

 新紀元社といえば、ファンタジーに関わりのある事物を平易な語り口で紹介した解説書を得意とする出版社。その新紀元社から刊行されたのが、本書「図解 里見八犬伝」、あの「南総里見八犬伝」の解説書であります。

 これは新紀元社に限りませんが、最近本屋でしばしば見かけるのが、「図解○○」というタイトルの本。元々は実用書の類で出たものだと思うのですが、それがいつの間にかこうした趣味雑学系も多く出版されるようになっています(新紀元社のカタログを見ているだけでも実に面白い)。
 この種の図解本の構成は、見開きの左側に解説文が、右側に図表やイラストが配置されているのが大方のパターンですが、本書もまた、どのスタイルとなっています。

 それにしても、八犬伝に図解というのはどうなのかしら、と感じるのは私だけではないだろうと思いますが、これがまた存外に面白い。
 その内容というのが、八犬伝の登場人物の相関図や関連地図といった作品理解に直接役立つものから、原典に伏された挿絵、果ては登場する武具道具・果ては動植物の解説のような雑学まで、実にバラエティーに富んだものとなっているのですから。

 これは八犬伝について触れるとき、しばしば一緒に書くことですが、そのタイトルのメジャーさとは裏腹に、その実際の内容については、現代の人々には想像以上に知られていないのが八犬伝という作品。
 その原因の一端は、原作のあまりの長大さと、複雑な因果因縁が絡まりあった人物関係、そして内容が室町中期の関東(というローカルな世界)の勢力分布と密接に絡まりあった点など――要するに理解するのに結構な分量の知識と記憶力を必要とするためではないかと思います。

 その点で、図表やイラストをふんだんに使用した本書は、八犬伝の作品世界を理解するためのユニークな副読本として、なかなかに役立つのではないかと思います。
 もちろん、そこまでして八犬伝を理解したいというニーズがどれくらいあるかはわかりませんし、このネタで二ページ取らなくても…と思う部分もなきにしもあらずですが(しかしこれは図解本のある意味お約束ではあります)。
 しかし、たとえば八犬士それぞれの家紋など、オタク雑学的に面白い部分も多く、私はなかなか気に入っているところです。


「図解里見八犬伝」(犬藤九郎佐宏 新紀元社F-Files) Amazon
図解 里見八犬伝 (F-Files No.0016) (F-Files No. 16)

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コメント

三田さま、こんばんは。
ひさしぶりのコメント欄です。

いきなりですけど、こちらの記事にあるイベント、ご存知でしょうか。

 →http://blog.goo.ne.jp/pink-a-gvc/e/6cef7ea77b4ca0746ef9801d8653e1d0

過去最大のものだそうで、私も早いうちに見に行くつもりです。(^-^)

投稿: ケイト | 2008.07.25 01:37

ケイト様:
イベント自体は聞いていましたが、てっきり原典オンリーだと思っていました! 行かねば!

…しかしこの開催地は謎ですね(汗)

投稿: 三田主水 | 2008.07.28 00:51

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