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2008.07.06

香席体験講座で源氏香を楽しむこと

 こういうサイトをやってるからにゃ、和モノの文化にできるだけ親しんでおかなくちゃ…というわけでもないのですが、東京都と銀座の専門店「香十」主催の香席体験講座に昨日行ってきました。

 今回行われたのは、香道の組香の中でも源氏香と呼ばれるもの。簡単に説明すれば、香5種を5包ずつ、合わせて25包の中からランダムに取り出した5包を順に聞いて、どれとどれが同じかを当てるというルールであります。
 その5包の組合せが52通り、それが源氏物語全54帖の初めの「桐壺」と終りの「夢浮橋」を除いた数に等しいため、残る52帖の各巻名を当てはめて回答するという…いや、昔の方はうまいことを考えたものです。

 本来は組香は主客合わせて10人で行うらしいのですが、今日は参加者だけで20人以上と相当な人数だったため、進行は基本的に全て略式。それでも5回香を聞いて味わって、どの香とどの香が同じか頭の中で吟味して…と、香席の気分はしっかり味わうことはできたかと思います。
 …まあ、肝心の成績の方は、5点満点で1点。どうも最初の回の聞き方が悪かったようで――想像以上に幽き香りで、ちょっとミスしただけで香りは飛んでしまうように思えます。

 ちなみに、一時間半の講座の最初30分は、香十代表の香道史…のみならず我が国における香りの文化史の講義だったのですが、ここでうちのサイト的に考えさせられてしまったのは、香道が――いやそれだけでなく華道や茶道といった芸道が――ほぼ同じ室町時代に成立したという事実。
 香りを楽しむ文化自体は、講座でも例に挙がった源氏物語に描かれているように、香道成立以前から存在したわけですが、それが数百年後の室町時代に初めて道として、言い換えれば思想とシステムを備えるに至ったのは何故か。文化の成熟度という点でいえば、より以前に成立していてもおかしくないものが…
 これは素人の勝手な想像ですが、社会的にはかなり流動的であった時代、それまでの規範が崩壊、新生した時期であったからこそ、室町期に複数の社会階層に適用可能な「道」が生まれたのではないか…私はそう感じます。

 と、ここでも一つうちのサイトらしいことを書けば、聞香、しかも源氏香とくれば、やっぱり真っ先に浮かぶのは「鵺」なわけで…この作品で源氏香のルールを覚えた身としては、ちょっと感慨深いものが(ってバカですか三田さん)。


 と、随分横道にずれましたが、これまで知識としてしか、漠然としか知らなかったものに直に触れることができたのは、良い刺激となりましたし、何より純粋に実に楽しい経験でした。幽き香りを一心に感じ取ろうとしている時には、日常のあれやこれやは頭から消えてなくなった…というのはこれは本当の話。
 香十の本店では定期的に聞香の講座を開催しているとのことですし、いずれまた、きちんとした形で香道を学んでみたいと考えているところです。

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