「戦国妖狐」第1巻 人と闇が隣り合う時代に
時は戦国、自称武芸者の真介は、人間好きの妖狐・たまと、人間嫌いの仙道・迅火の姉弟と出会う。世直しの旅の最中という二人に興味を持った真介だが、退魔の僧兵団・断怪衆に改造された少女・灼岩を助けたことから、一行は断怪衆との対決を余儀なくされるのだった。
主に少年画報社で活躍している水上悟志先生の初時代コミックは、人と人外のもの・闇(かたわら)が隣り合って存在していた時代を舞台に、人間好きの闇と、闇になることを目指す人間嫌いの青年の姉弟を主人公とした伝奇活劇であります。
その絵柄にふさわしいどこか暢気な雰囲気と、シビアでシリアスなドラマ描写を併せ持つのが水上作品の特徴の一つかと思いますが、本作は舞台が死と隣り合わせの戦国時代ということもあってか、相当にシリアス寄りの作品。人が人を、人が闇を、闇が人を殺す時代において、それぞれの想いを胸に生きようとする人々の姿が描かれます。
(それでも城パンチとか、ずいぶんすっとぼけたネタもありますけどね)
物語的には、この第一巻のラストでようやくテーマが見えてきたというところでしょうか、迅火やこまの過去など、まだまだわからぬ部分も多いのですが、しかしそれはこれからのお楽しみというべきなのでしょう。
人と闇が隣り合って存在していた時代だからこそ、人とは何か、人と闇の違いは何なのか、より明確に描けるということはあるのでしょう。迅火たちの旅路は、おそらくはそれを証明するものになるだろうと――そう感じているところです。
ちなみに、水上作品で仙道というと、どうしても思い出してしまうのは「散人左道」。あちらは現代を舞台とした作品ですが、迅火の師匠・黒月斎は、明らかに「散人左道」の左道黒月真君を思い起こさせますし、迅火のオッドアイは妖精眼なのでしょう。
さらにいえば、黒月斎が、迅火が完成させようとしている精霊転化の発展系の術は、やはり「散人左道」に登場したあの秘術でしょうし…その意味でも今後が気になる作品です。
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