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2008.08.26

「マーベラス・ツインズ契 2 めぐり逢い」 絶代英雄、誕生の序曲

 「マーベラス・ツインズ」も新章「契」に突入してこれで二巻目。十七歳に成長した小魚児の冒険もいよいよ快調、いかにも古龍らしいどんでん返しの連続の果てに、ある「契」がかわされることとなります。

 自分に仕掛けられた罠を逆用して、宿敵の大悪党・江別鶴と武林の名門・慕容家を激突させようと企んだ小魚児。しかし計り知れないのは天機と人心、事態は小魚児も予想しない方向へ。
 さらに小魚児の前に現れたのは、悪人谷に篭っていたはずの育ての親・十大悪人たちと、彼らに敗れ廃人と化したはずの大英雄・燕南天。
 そして小魚児は、幾度となく敗れたライバル・花無缺と、最後の戦いを決意するも…

 と、相変わらずの古龍節、個性的すぎるキャラクターの登場と超展開の連続ではあるのですが、しかし冷静になってみると、この巻で描かれた出来事の一つ一つが、小魚児の心境に大きな影響を与え、変化と成長を促していることに気づきます。

 これまで、舌先三寸で周囲の人間をきりきり舞いさせ、江湖を渡ってきた小魚児。しかしそれは所詮、正道を歩む者の前では邪道に過ぎず、英雄好漢の取るべき道ではないということを、彼は思い知らされます。
 もちろんそれは武侠小説においては言わずもがなの道理ではあるのですが、この巻の後半の内容、すなわち、
自分が花無缺に敵わないと思い知らされる(しかも直接的にぶつかるわけでないのがうまい)
→悪人たちの残酷さと悲惨な末路を見せつけられる
→尊敬する大英雄との出会い
と畳み掛けるように展開するのを見ると、彼の心境の変化が無理なく納得できます。


 そしてラストに描かれるのは小魚児と花無缺のある約束――なるほど、「契」とはこのことであったか、と感心するとともに、共に人並み外れた偉才を持ちながら、それゆえに孤独であった少年二人の交流に、何ともほほえましいものを感じた次第です。

 しかしまだまだ先の見えぬ物語。二人の少年の約束が、この物語にどのような影響を与えるか、それもまたわかりませんが、絶代の英雄の誕生を信じて、続巻を楽しみに待ちます。第3巻が発売される再来月までが長いこと長いこと…


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