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2008.08.04

「戦国戦術戦記LOBOS」第3巻 人間とは、真のプロフェッショナルとは

 戦国アクションの快作「戦国戦術戦記LOBOS」の待望の第三巻です。この巻ではほぼ一冊を使って、前の巻でスタートした、柿崎景家暗殺を巡る「狼」と伊賀日隠衆の死闘の顛末が描かれることとなります。

 景家の首を狙う市蔵たち「狼」と、その宿敵である日隠衆の争いは、どちらが先に暗殺を成功させるかという争いから、互いのメンバーの潰し合いへ展開。忍びである日隠衆はもちろんのこと(?)、「狼」の面々もまた一芸に秀でた達人たち。
 この達人同士のバトルがまた、迫力と奇想に満ちていて実に良いのですが――しかしその一方で、このままバトルものに傾斜していくのかな、それはそれで面白いのだけれど、少し勿体ないような…と一瞬思ったのですが、それはもちろん杞憂でありました。

 そう、両者の死闘の中で描き出されるのは、互いの秘術の冴えのみならず、何故戦うのか、何のために戦うのか――両者が寄って立つものの明確な違いであります。
 日隠衆にとって任務は、己の力を発揮し、誇示する以外の何物でもありません。その意義の前では報酬すら二の次であり、己の身を刃として鍛え上げ振るうことにこそ目的を見出だす彼らは、ある意味最も純粋な存在なのかもしれません。
 それに対して「狼」の方の理由は、ある者は復讐のため、ある者はそのものずばり金のため…比べてみれば「不純」ですらあります。

 が、その「不純さ」が――目的達成に留まらず、任務に何かを望む心こそが、人間の心の証であり、そしてそれこそが人の強さの源になると…死闘の中での「純粋さ」との対比で、自然に描き出されているのです。
 ともに銭金のために戦う存在でありながらも、しかしその目指すところは全く異なる――迫力あるバトルを展開させながらも、人間とは、真のプロフェッショナルとは何か浮かび上がらせる業前には脱帽です。

 そしてこの巻のラストからは、市蔵の過去編がスタート。この中で、おそらくは上記の問いかけがより先鋭化された姿で描かれるのではないか――そう期待しているところです。


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