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2008.09.15

「炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!劇場BANG!!」 サムライワールドに見た魂の継承

 また突発的にどうした、と思われるかもしれませんが、いわゆるスーパー戦隊シリーズでは、年に一回、太秦映画村を舞台とした番外編的エピソードが作られるのが恒例の様子。今年はそれが劇場版、そして何よりも、脚本があの會川昇氏というので俄然見逃せない作品となりました。

 アニメ・特撮を問わず健筆を振るう會川氏ですが、その時代劇嗜好/志向は一目瞭然。昨年も、「天保異聞 妖奇士」「大江戸ロケット」と二本の時代劇アニメのメインライターを務めていますが、その氏が(おそらくは)初めて特撮のフィールドで時代劇"調"作品を書いたのですから…

 本作は、異世界から現れた三人の男女・炎衆に炎神キャスト(合体ロボのボディ…みたいなものかなあ)を奪われたゴーオンジャーが、追いかけていった先は江戸時代のような街を侍が闊歩する「サムライワールド」だった…というストーリー。
 上で時代劇"調"と書いたのは、あくまでも主人公たちが迷い込んだのは過去の世界ではなく、江戸時代っぽいパラレルワールドが舞台となるから、であります(迷い込んだ直後に、時代考証っぽいことを言い出すゴーオンブルーに思わず共感&苦笑)。

 ここで過去世界ではなく、パラレルワールドのお話としたのは、時代劇には厳密な考証を以って良しとする會川氏らしいこだわりの裏返しでしょうが、しかしそこにもう一つ、個人的に感じたのは、「東映時代劇」から「東映特撮ヒーローもの」へ、という構図であります。
 実は本作のテーマは「ヒーロー魂の継承」。強さを求めながらも戦う意味を見失っていた炎衆が、たとえ弱さを持ちながらでもそこから逃げず正義のため戦うという主人公たちの魂に触れて再び立ち上がるというのが本作のクライマックスなのであります(しかし、見る前は特撮ヒーローOBOGが演じる炎衆の方が、主人公たちにヒーロー魂を教えるものだとばかり思いこんでました…これは一本取られた)。

 さて、最近はすっかりそんなこともなくなってしまったように感じますが、かつてヒーローがいたのは、時代劇の中でありました。チャンバラヒーローが、架空の江戸時代を舞台に、人々の声援を(本作のラストのように)集め、活躍していた時代があったのです。
 その栄光の残滓(シビアな言い方で恐縮ですが…)たる太秦映画村で撮影され、「東映時代劇」と「東映特撮ヒーローもの」が交錯する本作。その中に、時代劇から特撮ヒーローものに形は変わっても、ヒーロー魂は受け継がれていくという姿を見るのは、これはマニアの勝手な思いこみではありますが、美しい構図ではないかなあと感じております。
(そして「東映時代劇」だからこそ、考証ガチガチで描かれる過去世界ではなく、一種のファンタジーたる「サムライワールド」なのだ! とまでいうと、さすがに怒られそうですが…)

 まあ、そんなマニアの深読みはどうでもいい話で、ラストの巨大戦で、城(某大作邦画で使用されたものだそうですが…粉々になっちゃいましたね)を挟んで対峙する正邪の巨人、という構図が見れただけでも、何だか楽しくなってしまう本作。わずか三十分弱にこれでもか! とばかりに見せ場が詰め込まれたなかなかの痛快作でした。
 そして、これを見た子供たちが、将来どこかでこの「サムライワールド」の町並みを見かけて、懐かしさを感じてくれたら、それはそれで素敵なことだなあ、と感じる次第です。


 というわけで、時代劇ファンの目から劇場版ゴーオンジャーを評するという珍文、これにておしまい。


関連サイト
 劇場版公式サイト

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