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2008.09.12

「使ってみたい武士の日本語」 ユニークなアプローチの用語集

 ひところ、「美しい日本語」本ともいうべきものが、よく書店に並んでいたものでしたが、本書はその一風変わったバリエーションともいうべき一冊であります。

 本書のタイトルは「使ってみたい武士の日本語」。こうあると武士喋りとでもいいますか、「さようしからばごもっとも」のようなものばかり載っているのかな、という印象がありますが、そればかりではありません。

 「六日の菖蒲」「上意討ち」「没義道」などなど――武士が生きていた時代の日本語、武士業界(?)の言葉など、武士にまつわる日本語、武士用語とでも言うべきものが、集められているのです。

 さて、そんな本書の最大の特徴は、これらの言葉について、様々な時代小説の一節を引用して紹介を行っている点です。
 言葉は、それ単独で存在しているものではなく、前後の文脈と組み合わされて初めて生きるもの。その、武士の日本語の文例を示すのに、時代小説を引いてくるというのは、当たり前といえば当たり前ですが、なかなか面白いアプローチです。
 かくて本書は、単なる「美しい日本語」本ではなく、一種の時代小説ガイド、そして時代小説用語集的性質をも持っているのです。

 個人的には、引用されている作家が、池波・山本(not one power)・藤沢・平岩辺りなのが不満――もっとも、剣術用語の項では五味・柴錬が大活躍ですが――ではありますし、また作者の解説にも必ずしもうなづけることばかりではないのですが、それでもなお、本書のユニークなアプローチには大いに感心し、かつ楽しませていただいた次第です。


「使ってみたい武士の日本語」(野火迅 文春文庫) Amazon
使ってみたい武士の日本語 (文春文庫 の 14-1)

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