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2008.09.16

「歓楽英雄」 古龍流武侠青春小説!?

 「富貴山荘」とは名ばかりのボロ屋に集った四人の男たち――豪快というより大雑把な郭大路、度を越した面倒臭がりの王動、今まで七度死にかけたという燕七、世間知らずの美少年・林太平。意気投合して呑気な共同生活を送る四人だが、それを妨げるように、次々と面倒が訪れる。固い友情で難事件に立ち向かう四人の運命や如何に。

 以前にも書きましたが、私にとって、どんなに疲れていてもこれさえ読めば元気が出る、という本の一つが、古龍先生による「歓楽英雄」であります。
 ジャンルでいえば、武侠小説に分類されることは間違いない本作ですが、味わい的にはむしろ青春小説。いずれも一癖ある四人の文無し野郎が、ひたすらのんべんだらりとモラトリアム期間を過ごす中で様々な事件に出くわし、その中で少しずつ成長していく様が描かれます。

 とにかく、個性豊かなキャラクターでは定評のある古龍ですが、その中でも本作の主人公たちは極めつけ。富貴山荘に集った四人の中でも、特に主人公の郭大路と、王動が実に面白い。
 郭大路は、元はいいところの出身ながら、あまりに豪快…というより大雑把な性格が災いしてたちまち身代を傾けた問題児。しかし良く言えば磊落なその性格で、不思議と人を引き付ける快男児であります。
 一方の王動は、一応富貴山荘の主ながら、やることはといえば、ひがな一日汚い布団に包まっているだけの異常なまでの面倒臭がり。しかし時折見せる頭脳の回転や武芸の腕はただものではなく…

 と、こんな連中を中心に、負けぬくらい個性的な快人・怪人が集まって、ミステリタッチで物語が展開していくのだから面白いのは当たり前…ではあるのですが、本作ならではの味付けは、主人公四人組には金も名誉も、人生の目的も何にもない、およそ武侠小説のヒーローらしからぬ連中という点。
 あるのは、自分自身の命と、がっちりとつないだ友情の絆のみ――そんな連中が、知恵と度胸と互いの信頼のみで、次々と怪事件や難敵に挑む様が、何とも痛快であり、そして元気が出るのです。

 世間並みのものは何一つ持っていないような連中だからこそ、逆に人間にとって最も大切なものを知っている、持っている…様々なスタイルで男の生き様を描いてきた古龍ならではの味わいであります。


 とはいえ――人間いつまでも呑気にはしていられないもの。富貴山荘の四人にも、モラトリアムの終りはやって来ます。ある意味、人生最大の敵とも言うべきそれと如何に彼らが立ち向かうか…もちろん、彼らの友情に敵はないのですけどね。


「歓楽英雄」(古龍 学研歴史群像新書 全3巻) 上巻 Amazon/中巻 Amazon/下巻 Amazon

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