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2008.10.18

「もののけ草紙」第1巻 少女芸人魔界行?

 書店で高橋葉介先生の新刊を見つけて、その表紙を眺めてみれば、どこかで見た女の子が…そう、本作「もののけ草紙」は、「夢幻紳士 逢魔篇」に登場した、不思議な力を持つ少女芸人「手の目」を主人公とした新シリーズであります。

 「手の目」は、その名の如く、手のひらに目の刺青を持った少女。幻術の類など、様々な超能力を持ち、それを酒の席での座興として生計を立てている芸人であります。本作では、その「手の目」が、行く先々で奇怪なもののけや事件に巻き込まれ、解決していく様が描かれることになりますが、さすがに高橋先生の作品だけあって、彼女自身のキャラクターも、その活躍も、一筋縄ではいかないくせものであります。

 本書は、大きく分けると、「手の目」が放浪する先々で様々なもののけと出会う短編連作の前半と、さる名家の跡取り息子を巡る事件に巻き込まれる描いた後半に分かれるかと思いますが、何といっても面白いのは前半での彼女の暴れっぷり。
 体質なのかやむにやまれぬ事情か、何故かトラブル――それももののけ絡みの――を引き寄せてしまう彼女が、もののけたちと渡り合うのですが、彼女の武器となるのは、超能力よりもむしろその江戸っ子的なクソ度胸。どんな相手を前にしても一歩も引かず、歯切れのいい啖呵とともに、もののけたちを口八丁手八丁であしらう様が、実に気持ちよいのです。

 また、舞台となるのが人里離れた場所、片田舎が多いこともあって、どう考えても都会的な(尤も、結構泥臭いところにも行っているような気もしますが)夢幻魔実也氏との差別化も果たされているものも面白い。個人的には、放浪者による土俗的ゴーストハンターものというところに、私の大好きなマンリィ・W・ウェルマンのあの作品を思い出してしまいました。


 さて後半では、「手の目」もちょっと成長して、既に女性と言うべき年齢に。こちらでは数奇な能力を背負わされた名家の青年と共に行動することになりますが、ちょっと湿っぽくなってしまったのが個人的には残念かな。彼女の心境を思うと、実に切ないものはあるのですが…

 そしてこの第一巻の最終話では、何と「手の目」はすっかり成長して大人の色香溢れる女性に。これなら夢幻魔実也氏も放っておかないのでは…などとついつい余計なことを考えてしまいますが、成長してもやっぱり彼女は彼女、鼻っ柱の強さは健在で(九段先生の先祖と言われても信じるぞ)、これからも怪奇で痛快な冒険を繰り広げてくれるんだろうな…と想像すると、実に楽しいものがあります。
 今後の冒険にも期待です。


「もののけ草紙」第1巻(高橋葉介 ぶんか社コミックスホラーMシリーズ) Amazon
もののけ草紙 1 (1)


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