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2008.10.03

「飛狐外伝 2 愛憎の父娘」 女難拳難の冒険行

 「雪山飛狐」に登場した豪傑・胡斐の少年時代の活躍を描く「飛狐外伝」、全三巻の二巻目であります。
 大悪人・鳳天南を追う胡斐の前に現れるのは、謎めいた二人の少女に親の仇たる快侠。女難拳難、冒険児の旅の行方は前途多難であります。

 私利私欲から無辜の一家を虐殺し、胡斐の怒りを買った鳳天南は、武功ではとても敵わぬ胡斐の前から恥知らずにも遁走。
 それを追う途上、敵の罠にかかり毒で失明の危険に曝された苗人鳳を救うため、胡斐は毒物の達人・毒手薬王のもとに向かいます。

 冒険の末に何とか苗人鳳の危機を救ったものの、この好漢が両親の仇と知った胡斐の心中は複雑の一言。
 さらに、鳳天南を追い詰めるたびに、ひそかに想いを寄せていた美少女・袁紫衣に何故か邪魔をされて取り逃がす羽目となり、まだまだ若い胡斐の心は千千に乱れるばかり――


 と、青春武侠ドラマ的色彩の強い本作。複雑怪奇な人間関係と歴史の皮肉を描いた「雪山飛狐」に比べると、ぐっとわかりやすく、ストレートな活劇となっており、その印象はこの第二巻では特に強まります。

 もちろんそれは、「雪山飛狐」に比べて本作が劣っているということでは全くなく、同じ背景設定を用いながらも、それぞれの面白さがありますが、武侠小説らしさという点では、本作の方が上であると申せましょう。

 もちろん、ストレートな展開であっても、金庸らしい人間関係の綾は健在で、胡斐と苗人鳳、胡斐と彼を慕う二人の少女の関係などは、いかにも一筋縄にいかないことばかりで、作者の狙いにまんまとはめられているとわかりつつも、大いにやきもきさせられます。

 ただ一点、鳳天南が武術の腕的にも人間のスケール的にも、いかにも小物すぎるのが不満だったのですが、この第二巻終盤で明かされる因縁を知って、物語の構成上仕方ないか、と納得。まったく、うまいことを考えるものです。

 物語の方は、胡斐の復讐行の行方に加え、清朝高官の陰謀が秘められた一大武術大会に向けて緊迫度はいよいよ高まるばかり。一読巻置くを能わず、を地で行く快作であります。


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飛狐外伝 2 (2) (徳間文庫 き 12-37 金庸武侠小説集)


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