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2008.10.21

「絵巻水滸伝」 第七十四回「荒野」 群雄、荒野に激突す

 さて、おそらくこのブログでも最も需要が少ないであろうと思いつつもまだまだ続ける、今月の「絵巻水滸伝」感想であります。
 前回、招安の使者を追い返した梁山泊に迫るのは、官軍の大群また大群。今回の内容を一言で表せば、「戦(いくさ)」と言うほかありますまい。

 これまでも官軍をはじめ、様々な戦を繰り広げてきた梁山泊の面々ですが、それまでは、どこか個人と個人の戦いの拡大版といった印象がありました。つまりは、それだけ個人の能力が戦の結果に及ぼす割合が大きかったわけですが、今回は完全に軍と軍、兵と兵の激突、といった内容であります。

 この戦の中で中心となるのは、梁山泊側の九宮八卦陣と、官軍側の四門斗底の陣の激突。刻一刻と変わっていく戦況の中で、それぞれあたかも生きているかのごとく二つの陣が変化を見せ、そしてそれを攻め、守る将たちが激突する様は、これまでの本作にはあまりなかった、合戦ものとしての楽しさ、魅力があります。

 それにしても、今回の梁山泊は、これまでにない苦戦。
 これまで「絵巻水滸伝」の中で梁山泊が経験した一番苦しい戦いは、第一部終盤の大刀関勝戦だと思いますが、あの時は梁山泊の戦力が大幅に削がれていたのに対し、今の梁山泊は、百八人集結した直後の、いわば最も脂の乗りきった時期であります。そんな梁山泊が、意外や意外、正面からの対決で官軍相手にてこずらされるのでありますから、これはかなりの意外事です。
 この梁山泊苦戦の主たる要因となったのは、、官軍側の謎の軍師の存在あってのこと。結局今回は名前は明かされませんでしたが、今後の活躍(?)が楽しみです。

 そしてそんな総力戦の中で活躍する豪傑たちも、ほとんどオールスターキャスト。もちろん実際に数えたわけではありませんが、百八人のうち、九割とはいかないまでも八割は登場したのではないでしょうか。もちろん、これだけの数が登場すると、ほとんど名前だけの登場だけのキャラクターも多いのですが、それでも最大限にそれぞれの個性をアピールしてくれるのが本作の嬉しいところ。
 戦場だというのに自分のビジュアルの心配ばかりしている施恩、他の五虎将はシリアスに活躍しているのに索超と張り合って先陣争いをしている董平…そういうネタ的な描写のみならず、さりげないところで呼延灼と関勝、二人の武将の資質の違いをさらりと描いていたりして、油断できません。

 ついでにも一つキャラネタでいえば、コーエーの水滸伝ファン待望の馬万里が今回遂に登場。あまりに空気を読んだその活躍ぶりに全馬万里ファンが涙したのではないかと思います。正子絵の馬万里が見れなかったのは残念ですが…


 さて、一難去ってまた一難。何とか官軍を一度は撃退したものの、続いて梁山泊の前に現れたのは十人の節度使。招安を受けて官軍についた元賊徒という、ある意味彼らの合わせ鏡とも言える相手に対し、梁山泊が如何に戦うのか。期待して待ちたいと思います。


公式サイト
 キノトロープ/絵巻水滸伝


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