「水滸伝・天導一〇八星」 箱庭の中の豪傑たち
ここのところ月に二回くらいは水滸伝ネタを書いているような気がしますが、今回はかなり脱線に近いネタ。十年以上前に発売された水滸伝ゲーム「水滸伝・天導一〇八星」の、それもプレイステーション移植版のお話であります。
このゲームは、ジャンル的にはシミュレーションに分類されるのですが、前作に当たる「水滸伝・天命の誓い」がシステム的には通常のいわゆる歴史シミュレーションものにかなり近かったのに対し、本作はガラッと趣を変えて、なんとも驚いたことにリアルタイム箱庭シミュレーションとでもいうべき内容。
マップ上をちょこまかと歩き回る三頭身キャラに命令を与えて、自分の要塞に様々な施設を建てて、要塞を発展させていくのがメインなのであります。
私はPC版の発売と同時に飛びついてプレイしたのですが、ゲームとしてのあまりの勝手の違いと、そして何よりもリアルタイムの慌ただしさについていけず、大してプレイしなかったのですが、今回部屋に積んでいたのを見つけてプレイしてみたPS版は、PC版に比べるとかなりマップ数が減り、また一つのマップのサイズも小さくなったいわばタイニー版。しかしそれが決してマイナスにならず、いい具合のスケール感で、気持ち良く要塞経営に専念できるのです。
さて、こうして落ち着いてみると感心させられるのは、本作の「水滸伝」らしさの再現度。
水滸伝と言えば、好漢たちが豪快に暴れ回る姿が最大の魅力ですが、何も好漢たちの才能は戦闘の中でのみ発揮されるものではありません。潜入能力で活躍する盗賊、書や細工・建築などの分野で活躍する特殊技能者、あるいは痺れ酒で相手を盛り潰す奴などもいるわけですが、その辺りは、戦闘メインのシステムでは再現できず、非戦闘員の好漢は、使えない奴の烙印を押されてしまうことになります。
ところが本作では、個々のキャラに、スキルという名前で得意分野を数値化することによって、好漢たちが戦場以外の場で活躍することを可能にしているのです。
酒屋技能を持った好漢は酒場で客を盛り潰して金品を奪ったり、盗賊技能を持った好漢は敵地に忍び込んで敵に一服盛ったり…単純に真っ向勝負ばかりではない、融通無碍な好漢たちの活躍が、ここにはあります。
これはもちろん、ゲームの眼目が戦争から箱庭育成に移ったことを反映してのものではありますが、しかし上記の水滸伝ならではの特色を思えば、原典の実に巧みなゲーム化だわいと、今更ながらに感心した次第。
しかし本作のオリジナルが発売されてから早十年。その間、三国志や信長は何度もゲーム化されたのに、水滸伝は全く音沙汰無し…
知名度の差を考えれば仕方ないのかもしれませんが、また本作のような創意に溢れた作品に出会いたいものです(特にコーエーは最近、ニンテンドーDSで意欲作を連発してるので頑張って欲しいです)。
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