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2008.11.23

「絵巻水滸伝」 第七十五回「壺中天」前篇 そして意外なる敵が

 それでもしつこく続ける「絵巻水滸伝」感想。今月の更新分では、童貫との激闘の果てにかろうじて押し返したかにみえた梁山泊を襲う十節度使の脅威が描かれることとなります。

 本隊が童貫を迎え撃つために梁山泊を離れた隙をついて、梁山泊を重囲した十節度使。「宋国に十人の節度使あり。武勇をもって、賊寇夷狄を圧殺す」と謳われた一人が一万の兵を率い…つまりは童貫軍に加えて実に十万の大軍を相手にすることになります。
 戻らねば梁山泊の守りが危うい、しかし戻るためには大軍の追撃が…古来、退却戦は戦闘の中でも最も難しいものと聞いたことがありますが、まさに今回の梁山泊軍は、その困難な闘いを強いられることとなります。

 さて、今回勢揃い(正確には一名欠けていますが)した節度使は、以前も書いたと思いますが、かつて賊徒だったものが、朝廷に帰順することにより官軍となったもの。言い換えれば、そうであったかもしれない(そうなるかもしれない)もう一つの梁山泊と言うべき存在であります。
 さらに面白いのは、この節度使たちの顔ぶれは、水滸伝が今の形で成立する以前の説話・芸能で活躍していたヒーローたちから取られていること。元々水滸伝の豪傑たちの中には、過去の英雄豪傑のパロディと言うか見立て的なキャラクターや、別の物語で活躍していた人物も多く含まれているのですが、梁山泊vs節度使の対決は、ドリームマッチの連続、スーパー中国英雄大戦的な色彩を帯びることとなります。
 ちなみに、今回登場した十節度使のうち九人の渾名――老風流・鉄筆・飛天虎・千手・西北風・闌路虎・梅大郎・薬師・李風水――は、私の記憶ではこの「絵巻水滸伝」オリジナルかと思いますが、しかしその由来は、上記の説話・芸能等から取られているものも多いようで、ニヤリとさせられます。

 しかし、原典ファンにとっての今回一番のサプライズは、十節度使との激戦が繰り広げられる中で、あるキャラクターたちが登場したことでしょう。
 突如として戦場を覆った妖しい霧(最初は宋江がが女神様に加護を祈ったら出てきたのかと唖然としましたが)。その中で混世魔王樊瑞の前に現れたのは、混沌の力を操る黒衣の道士。そして第三の目を持つ怪人…その名も幻魔君喬道清と神駒子馬霊!
 この二人、原作ではずっと後に登場し、その異能を持って梁山泊と激闘を繰り広げたキャラクターですが、それがこの時点で登場するとは…

 原典を始めから終わりまで俯瞰した上で、キャラクター配置を巧みにアレンジするのは、「絵巻水滸伝」の特長であり魅力の一つですが、ここでこの面子が登場するとはさすがに予想していませんでした。
 果たして現在の戦いに、そして来るべき戦いにこの展開がどのように影響するのか…まだまだ楽しみは尽きません。


公式サイト
 キノトロープ/絵巻水滸伝


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