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2008.12.07

「斬バラ!」第1巻 これからの独自性に期待

 時は1863年、宿屋の手伝いをしながら剣術道場に通う少年・壱陽と朱彦。ある日、忍び込んできた盗人を追って逆襲を受けた二人は、新選組の沖田総司と名乗る脳天気な青年に命を救われる。宿の女将の頼みで、京に使いの旅に出ることとなった二人は、混沌の巷となった京で様々な人々と出会うが。

 アンテナをそれなりに広げているつもりでもまだまだ抜けが多い時代ものの新刊、本作も書店で初めて知ってほとんどジャケ買い状態で手にしました。
 幕末を舞台に、バイタリティの固まりのような少年二人が、様々な出会いの中で成長していく青春もの…なのでしょう、おそらく。

 宿の次男坊・朱彦と、子供の頃に宿に預けられ彼と兄弟同然に育った壱陽は、剣術道場に通っては大人相手に大立ち回りを演じたりする暴れん坊。身分の差という越えられない壁にぶつかったり、初めての真剣勝負の中で冷静さを失ったりと、この時代ならではの事件はありますが、時代が違ってもティーンズの悩みの根本は大体同じ。自分に何が出来るか、将来に何が待っているか――自分の力を持て余しながらも、自分に正直に突っ走っていく二人の姿には、なかなか好感が持てます。

 作者の片桐いくみ氏の作品を読むのは、私はこれが初めてですが、明るい絵柄にかなりの画力で好印象。刀の持ち方に何となく違和感を感じたり、考証的にどうなのかしら、という点はありますが、漫画としての魅力は十分にあるかと思います。

 もっとも、上でちょっと煮え切らない書き方をしたように、作品が、物語がどのような方向に向かっていくかは、現時点では未知数。壱陽の出生には何やら秘密がある様子だったり、この巻で登場した沖田総司(酔っ払いの沖田総司というのもなかなか新鮮)をはじめとした新選組が二人に絡んでいくのだろうな、と思いますが、まだまだ先は見えません。

 漫画というメディアの中だけでも、幕末ものが決して少なくない中で、どれだけ本作ならではの独自性を出していけるかが、今後のカギだとは思いますが、魅力的な絵柄で、時に(いや大部分?)ゆるく、時にシビアに描かれる少年群像というのは、ちょっと悪くないかな、とも思います。


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