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2008.12.18

「悪忍 加藤段蔵無頼伝」第3巻 これも画の力?

 「悪忍」の今泉伸二先生によるコミカライズ版も、はや三巻目。舞台を越前から越後に移し、ターゲットを朝倉から長尾(上杉)に移し、なおも何やら企む段蔵の活躍は…

 シリーズ連載的な掲載ではあるものの、順調に巻を重ねてきた本作。この第三巻は、原作でいえば第五章から第七章の途中までで、ちょうど物語の半ばを過ぎたところであります。

 原作にかなり忠実に漫画化されているだけに、原作既読の身にはそれほど驚き等はないのですが、それでも本作ならではのアレンジがあるのが楽しいところ。
 段蔵が長尾家の薄倖そうな端女と知り合うエピソードが、騎乗の景虎(謙信)の真っ正面に立ち塞がって一刀浴びせかけられるという、漫画向きに派手なエピソードになっていたのもその一例でしょう。
(今回初お目見えの重要キャラ・黒狛の座無左の初登場シーンで地元の商人をカモってたのもオリジナルだったかな)
 ただし、原作では色々な意味で大暴れしてくれた変態忍者・蝦蟇勝の出番がほとんどなかったのが残念ですが…

 画的には、相変わらず荒々しいを突き抜けて荒れてしまった感じる部分もなきにしもあらずですが、原作で思わず吹き出してしまったあのシーン――加賀の一向一揆の指導者の首を取ると言いながら越後の温泉にいた段蔵が富田景政に見つかり、問いつめられた末に、後ろから吹き矢を喰らわせて昏倒させてしまうというあのシーンが、画で見ると真っ当に見えたのは、これも画の持つ力かなあと、妙なところで感心いたしました。

 さて物語の方は、飛び加藤物語の史実(?)にもある呑牛の術を公衆の面前で成功させた段蔵が、ついに景虎の御前に潜り込めるか、というところでこの巻の幕。
 悪を自認する不敵の男が、果たして毘沙門天の化身を自称する英雄を相手に何を企むか。物語はこれからがクライマックス、まだまだ楽しみは尽きません。


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