「うそうそ」(TVドラマ版) 好印象の続編ドラマ
昨年TV放映されて好評を博したドラマ版「しゃばけ」の続編「うそうそ」が先日放映されました。キャストの好演とツボを押さえた特撮の使い方で、原作ファンにもしっかり楽しめた前作同様、今回も、原作そのままではないにせよ、楽しめる作品となっておりました。
基本的なストーリーはほぼ原作のまま、箱根に湯治に出かけることとなった若だんなが、着いた先で天狗に雲助に謎の武士に狙われての大騒動。その背後には、悲しい運命に縛られた少女の存在が…ということで、今回は江戸を離れてのお話。色々と作りやすいことも作りにくいこともあるだろうな…と余計なことを考えましたが、まずは原作のイメージを大きく崩すことなくビジュアライズされていたかと思います。
原作と最も大きく異なるのは、江戸留守番組にもかなりスポットを当てた展開となっていることで、原作ではほとんど出番のなかった妖怪たちにもそれなりの(本当にそれなりですが)出番があったのは、画面の賑やかさという意味では○でしょう。また、原作はシリーズ全体で見ればどちらかというと番外編的な内容ですが、ドラマとしては「しゃばけ」の直接の続編ということになるわけですし、ここで前作に登場した面子を出しておくのは悪いことではないかと思います。
(もっとも、おとっつぁんはわざわざ箱根までやって来る必要はあったのか…文字通り鈴彦姫の足をひっぱっただけだったですしね)
もっとも、そのため、原作で描かれた登場人物たちの出番が減ってしまった――お獅子と家鳴りの活躍がすっぱりオミットされたのは実に勿体ない――のは残念ですが最も大事にするべきお比女ちゃん周りのエピソードで、言うべきことはきっちりと言っていたので正解なのでしょう。
このお比女ちゃん周りでは、特にラストの展開が原作とは全く異なってはいたのですが、原作とはまた違う形で人間の愚かさ・哀しさを見せつけた上で、その上でなお、お比女ちゃんが人間を赦し、父神との和解を望むというのは、悪くない展開であったかと思います。
しかし今回圧巻(という言葉を敢えて使ってしまいますが)だったのは、若だんなを演じた手越祐也君の存在感でしょう。前回は原作のイメージとちょっとだけ違うかな、という印象もありましたし、今回も若だんなの割りには元気だなあ、という気もするのですが、しかしそんなことが些末に思えるくらい、ピュアで素直で頑張り屋の若だんなを、完璧に演じていたかと思います。
特に後半のクライマックスの一つであるお比女ちゃんへの語りかけは、中身だけ聞けば本当に大甘で、理想論ではあるのですが、しかし若だんなならではの不思議な説得力を、きちんと感じさせる好シーン。たとえ同じ人間同士でもなかなか理解できない、ましてや人間と神や妖怪の間では…という自分の悩みと他人の悩みの間にある大きな壁を乗り越えようとする若だんなの姿には、思わず涙腺が…(いや私、本当に涙腺が緩いんです)。
現実の中の、賑やかで楽しい面ばかりでなく、苦く暗い面もしっかりと描き出した上で、それに負けずに真っ直ぐと生きていこうとする人々の姿と、それを見つめる優しい眼差しは、原作同様にこのドラマ版でも健在。前作のラストを踏襲したラストのナレーションも、きっちり「うそうそ」でまとめていたのも好印象でありました。
前回から異常にはまり役だった仁吉・佐助――特に佐助は、蒼天坊との激突シーンでのガルルフィーバーしそうな勢いが素敵――は言うに及ばず、今回初登場組もなかなかのはまり役揃い。さすがに連続ものは難しいかもしれませんが、まだまだこのメンバーでドラマ化して欲しいと、素直に思えます。おっさん顔じゃない家鳴りにも、馴れましたしね。
と――ここからは蛇足。原作でもそうでしたが、映像化されてみると改めて若だんなのモテっぷりは異常と再認識いたしました。と言いますか(こういうことはあまり書きたくないのですが)若だんなが異常に可愛らしく撮られているのはいかがなものか! 何というか、映像的に危険球の連続だったような気がします。
特に松之助兄さんまわりのナニはかなりアレで、大ピンチのシーンでの「やっと名を呼んでくれましたね…」「兄さんの背中、あたたかい…」は本作屈指の迷科白。いいシーンがたちまち、何というか、こう。
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