« 「巷説百物語」第2巻 適度にリアル、適度に漫画的 | トップページ | 作品集成更新 »

2009.02.07

「必殺仕事人2009」第04話「薬物地獄」

 一週間をおいての「必殺仕事人2009」第四回は、なんと市川亀治郎がゲスト出演ということでずいぶんと期待していたのですが、期待通りの点、ちょっと違った点も含めて、大いに楽しめる回でした。

 今回は地位を隠れ蓑に江戸市中で阿片を売りさばく悪旗本に挑んだ熱血同心・安川新吾の悲劇を描いたエピソードですが、この同心を亀治郎が熱演。
 同様の事件に挑む最中に不慮の死を遂げた父の後を継ぎ、執念で阿片を追うも…という役柄でしたが、物語上の位置づけもさることながら、とにかくそこにいるだけで存在感が違うのには、今更ながら驚かされました。

 主役を食う…というか、今回の主役は紛れもなく彼で、仕事人たちはまさに彼の晴らせぬ恨みを晴らすために存在した、という印象もあります。
(正直なところ、このクラスの方が一話限りの殺され役として登場するのも、実に贅沢な話であります)

 とはいえ、今回の物語自体、様々な角度から――当然それは仕事人一人一人の視点も含みます――丁寧に描かれていたからこそ、亀治郎が輝いたというものでしょう。
 例えば、冒頭に登場する香具師の元締めなど、その用心棒たちの動き方も含めて、如何にも裏の世界の顔役という貫禄。それがあっさりと敵方に消されてしまうのには驚きましたが、しかし今回の敵の強敵ぶりを描く上で、実に効果的であったと感じます。

 そして感心したのは、仕事に至る過程で、仕事人同士の対立(あくまでも軽いものですが)が描かれたこと。
 今回、またしても依頼人なしの仕事なのですが――これはもう、依頼という形式よりも、作中で描かれる被害者の生き様・死に様こそが何より描かれるべきものであり、それが実質的な依頼となるというスタッフの考えだと思うべきなのでしょう――それでも事件の絡繰りが仕事人に伝わったのは、新吾の最期を涼次が目撃していたから、という展開。普通(?)であればスルーされそうなこの展開を拾って、小五郎が涼次に対し「なぜ助けなかった」と難詰するのが、なかなか新鮮に感じられたのです。
 この突っ込み自体、ある意味禁じ手に近いものではありますが、しかしこれにより、小五郎の新吾に対する思い入れと、手をこまねいているしかなかった涼次の怒りが、贅言を要することなく描いていたのには、うまいものだと感心した次第です(そしてこれが、上記の頼み人なしの仕事への一つのエクスキューズとなっているのもまたうまい)。

 その一方で残念なところも色々あったのですが、その最たるものが、阿片取引の背後にいる「暗闇奉行」なる謎の人物。予告でその存在を知った時は、「おお、ネーミングだけみると何だか角田喜久雄っぽいな!」とこちらにも期待していたのですが、蓋を開けてみれば角田喜久雄というより高木彬光だった、という感じで(わかりにくいよ三田さん)、いやこれはこちらの期待しすぎとはいえ、ちょっと勿体ないネタだったな――考えてみればこの人物、中村主水並みの怪人であります――とは感じます。


 それでも、総じて見れば間違いなく佳品であった今回。やはり「必殺仕事人2009」は、なかなか油断のできない番組です。


 そうそう、芝居マニアである小五郎が、新吾の前で澤瀉屋が云々と言うシーンにはニヤリとさせられましたね。


関連記事
 今ごろ「必殺仕事人2007」
 「必殺仕事人2009」 一年半ぶり、帰ってきた仕事人!
 「必殺仕事人2009」第01話 ひねりにひねった変化球
 「必殺仕事人2009」第02話&第03話をまとめて

関連サイト
 公式サイト

|

« 「巷説百物語」第2巻 適度にリアル、適度に漫画的 | トップページ | 作品集成更新 »

コメント

従来の必殺は依頼の形式に固執したがために形骸化してしまった感もありますし、必殺として禁じ手の部分は2009の核となる重要な要素かなとも思っています。
「基本すらきっちり破壊する革新精神こそ必殺らしさ」というスタッフのメッセージが込められているのでは?と都合のいいように考えてみたり・・・

それにしても単発ゲストの贅沢な使い方には毎週慄きます。
第一話も藤井隆&陣内智則が誰がやってもいいようなチョイ役で出演してたり。

投稿: 伯爵 | 2009.02.08 15:00

亀治郎さん、好演でしたよね(*^-^)。
梨園所属の方々は、本当に存在感が半端でないです。
いろんな意味で見入ってしまいます。
それに今回は三田さんご指摘の、仕事人同士の小さな対立がすごく印象深かったです。
これが大きな亀裂になるんだろうかと、先読みしてワクワクしました。

ところでテーマソング、ジャニーズ仕事人3人が歌ってたんですね。
知らなかったんで、番組最後のプレゼントコーナーで笑ってしまいました。
時代劇ファンのみならず、ジャニーズファンまで掴むか、仕事人!(笑)

投稿: たぬき | 2009.02.09 10:52

伯爵様:
本文でも書こうかと思ったのですが、確かに依頼という儀式のおかげでルーチン化した部分はあったので、その打破という意味では(冒険ではありますが)頑張っていると思います。

ゲストの豪華さには、毎回驚いています。次回も…
ていうかその二人出ていたの気付かなかったよ!


たぬき様:
亀さん、着物が似合いすぎてびっくりです。当たり前なのですが。
今回のチームは、結成時に初対面ではなかったはずですが、こういう風にぶつかる部分が出てくるとやっぱり引き締まりますね。

ジャニーズは時代劇には優しいので、こういうところは大いに評価しちゃいます

投稿: 三田主水 | 2009.02.09 23:40

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/43989587

この記事へのトラックバック一覧です: 「必殺仕事人2009」第04話「薬物地獄」:

« 「巷説百物語」第2巻 適度にリアル、適度に漫画的 | トップページ | 作品集成更新 »