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2009.02.13

「柳生烈堂秘剣狩り」 自家薬籠中のスタイルで

 病の床に伏した師・荒木又右衛門より、五年前に出奔した不肖の息子・三十郎の探索を依頼された烈堂。父を見返そうと名刀を手に入れるようとしていた三十郎を追い、各地の名刀を訪ねる烈堂だが、その前に謎の忍び集団が立ち塞がる…

 久々に火坂先生の過去作品紹介、今回は柳生烈堂シリーズの第四弾「柳生烈堂 秘剣狩り」。これまでのシリーズ作はいずれも長編でしたが、今回は雑誌連載ということもあってか、短編連作形式の構成となっています。

 物語は、師の息子を追う烈堂が、各地で古刀名刀にまつわる事件に巻き込まれるというのが基本スタイル。
 「骨喰藤四郎」「大わっぱ助平」「狐の太刀」「巌通し」「ふたご片山」「妖刀村正」「有情剣金道」の全七話のタイトルを見ればわかるように、一話に一振りの刀を中心に据えた物語を描きつつ、全体を通して一つの大きなストーリーが展開されていきます。

 本作のスタイル、主人公が一つの目的を持って各地を旅する中で、各地の風物を描きつつ、様々な事件に巻き込まれていくというスタイルは、考えてみれば作者のデビュー作「花月秘拳行」以来、用いられているもの。
 いわば自家薬籠中のものというべきスタイルで、本作の、バラエティに富みつつも安定した物語運びも、むべなるかな、であります。

 内容的には――このシリーズに共通していることですが――あくまでも水準の作品という印象。相変わらず飛び抜けたところはないのですがこれはこれでエンターテイメントとしては大事なことでしょう。

 しかし、最終話「有情剣金道」に登場する「名刀」が、テーマ的にも、何よりも物語設定的にも「なるほど!」と唸らされるようなものである辺り、やはりうまいものだ…と感心した次第です。


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