« 「北斗の銃弾」 殺伐さと希有壮大さと | トップページ | 「人魚鬼」 幻の若さま伝奇復活! »

2009.02.11

「日本の妖術師列伝」 バイアスはあるも面白い一冊

 ここしばらく、雑学文庫やコンビニ本で、ファンタジックな事物――モンスターや神々、マジックアイテム等々――を図鑑的に扱った本が毎月のように出版されているのをご存じな方も多いかと思います。その流れと言ってよいかはわかりませんが、忍者や剣豪に関するものもその中に含まれていて、このブログでも取り上げたことがありますが、本書もその一つ、日本史に現れた「妖術師」の概説本であります。

 「妖術師」というとあまり良いイメージはありませんが、本書におけるそれは、「科学技術では説明のできない不可思議な現象」を用いる者の意。まあ、常人と異なる超能力を発揮した人物とでも捉えておけばよいでしょう。
 まず冒頭に「妖術四天王」と題して、役小角・空海・小野篁・安部晴明の四人を挙げ、以降、飛鳥-平安前期、平安中期-後期、鎌倉・室町・戦国、江戸-明治・大正・昭和の区分で、各時代に活躍した妖術師たちを一人ずつ挙げて、そのエピソードを紹介していく構成となっています。

 つまりは、基本的には概説本によくあるパターンですが、本書はある意味著者らしさが出ているという印象があります。
 その筆者・中見利男氏は、「太閤の復活祭」「黄金の闇」などの時代伝奇小説もものしている方ですが、同時に陰謀論系の著作も少なくない人物。
 本書においても(陰謀論的というほどではないですが)あまり同系統の書籍では登場しないような視点・主張も散見され――「妖術四天王」はその最たるものかもしれません――鵜呑みにするのはちょっとどうかな、と感じないでもありません。

 また、平安時代までにかなり頁を割いている一方で、それ以降の時代からの登場がかなり少ないこと、そしてその中で出口王仁三郎や植芝盛平に、他の人物に比して異例なほどの頁数を当てているのもまた違和感がなきにしもあらず。
 まあ、この手の本においては、主張や掲載対象におけるバイアスは、程度の差こそあれ、付き物ではありますが――


 とはいえ、この手の本では存外珍しい、陰陽道系ではなく、平安時代の仏教系の術者にかなりスポットを当てていること、また、冒頭に掲載された妖術師の関係図は、これはある意味コロンブスの卵的で、なかなか面白いアイディアであると思います。

 あくまでもバイアスがあることを承知の上で、概説本・ネタ本として気軽に読む分には、なかなか面白い一冊であることは間違いありませんし、この手の本が大好きな私としては、楽しませていただいた次第です。


「日本の妖術師列伝」(中見利男 中経出版中経の文庫) Amazon
日本の妖術師列伝 (中経の文庫)

|

« 「北斗の銃弾」 殺伐さと希有壮大さと | トップページ | 「人魚鬼」 幻の若さま伝奇復活! »

コメント

当家は甲賀21家の芥川左京亮利保(利治)が当家の祖(初代)であり、信州松本藩士で代々戸田家(松平氏)に伝わる4術(槍術、砲術、忍術、医術)のうちの忍術(隠術)の家系で芥川流忍術の指南役として世襲制で来た家柄です。
私は、その17代目の当主です。
先生の出版された、『日本の妖術師列伝』に記載されている、芥川九郎右衛門は九郎左衛門が正しいのでお知らせ致します。確認は当方並びに松本城管理事務所、研究員にお尋ね頂ければ詳細(系図、由緒、忍術関連)の資料(古文書は寄託)はあります。

ご一報頂ければ幸いです。 

〒229-0202
神奈川県相模原市藤野町澤井603-2
  芥川  守宏
携帯メール:m.akutaeco@docomo.ne.jp
E-mail:akutaeco@sweet.ocn.ne.jp


投稿: 芥川 守宏 | 2009.06.17 02:02

本書に掲載された人物のご子孫がいらっしゃるとは…おみそれしました。
情報をありがとうございます。

なお、まことに恐縮ですが、不特定多数が見る場所ゆえ、電話番号・携帯番号については削除させていただきました。ご了承下さい。

投稿: 三田主水 | 2009.06.17 22:20

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/44029708

この記事へのトラックバック一覧です: 「日本の妖術師列伝」 バイアスはあるも面白い一冊:

« 「北斗の銃弾」 殺伐さと希有壮大さと | トップページ | 「人魚鬼」 幻の若さま伝奇復活! »