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2009.03.23

「風が如く」第1巻 混沌の中の漫画力

 時は戦国。お宝を感じると疼く手を持つ少年・石川五右衛門が次に目を付けたのは、一年に一度だけ、願いを叶えるという「月詠みの箱」だった。まんまと箱を盗み出した五右衛門だが、中から出てきたその正体は、薄汚れた幼女だった。さらに五右衛門の願いに応えて現れたものは――

 一頃はちょっと落ち着いてしまったような印象があってずいぶん残念だった「週刊少年チャンピオン」誌ですが、ここしばらくは、またイイ具合に混沌としてきた(ホメ言葉)と思います。
 壮絶な復讐戦を描いたSFバイオレンス「ダイモンズ」を完結させた米原秀幸先生の新作もその混沌を構成する作品の一つ。

 ジャンルはなんと時代劇、それもただの時代劇ではなく、やたらファンキーな俺様五右衛門に、正体不明の幼女、現代からバイクと共にタイムスリップしてしまった高校生に、ドレッドヘアに鉞担いだ金太郎の末裔、とどめに金太郎の相棒のパンダ――と、一癖も二癖もある、などという言葉ではすまない連中が集まった、何でもありの大活劇であります。

 文字にしただけでも混沌どころではない本作ですが、しかし、そこに説得力と魅力を与えるのが、漫画の力・絵の力。ことアクションシーンの画作りにおいては、当代有数の実力を持つ米原先生だけに、無茶苦茶なのに実際に画として見せられると何故か納得してしまうのは、これは漫画として実に正しいことでしょう。


 …が、正直なことを言えば、この第一巻の時点では、物語はまだエンジン全開とはいかない印象。読者はまだ世界観について行くのがやっとで、現代からタイムスリップさせられてしまったワープくんよろしく、眼前で繰り広げられる無茶苦茶な大暴れに振り回されている、というところでしょうか。

 もちろん、これはおそらく――いや間違いなく一過性のもの。第二巻に収録されるであろう対斎藤道三戦は、まさに痛快と言うべき内容でありましたし、本誌の方ではあの武将が…というわけで、いよいよ佳境に入ったという印象です(ちょっと急ぎ過ぎに見えるのが心配ですが…)。


 思えば、米原作品の主人公たちは、いずれも真っ当な世間から外れたような無軌道な連中、まさにアウトローばかりではありますが、己の道を決して曲げることなく突き進む、一本筋の通った「無頼」な男たちばかり。
 本作の五右衛門はまだまだ未知数ですが、しかしそんな魅力的な無頼漢の一人となってくれることを――半ば確信しつつ――期待しているところです。


 ちなみに和泉元彌さんが米原先生の大ファンなのに、ちょっと驚いたというか楽しくなりました。フィクション上等、いい言葉です。


「風が如く」第1巻(米原秀幸 秋田書店少年チャンピオンコミックス) Amazon

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