「大江戸神龍伝バサラ! 1 龍、覚醒せり。」 アイディアは超伝奇クラス
転校を繰り返し、孤独な学校生活を送るさくら。ある晩、近くの神社で琵琶を弾く謎めいた美少年に出会った彼女は、気がつくと江戸時代に転移していた。そこで天真爛漫な少年・婆娑羅丸たちと出会ったさくらだが、そこに神社を潰そうとする陰陽師・土御門幻真が現れる。妖怪を操る婆娑羅丸の正体は…
今月3日に、角川つばさ文庫が発刊されました。ポプラ文庫や青い鳥文庫のようないわゆる児童向け小説のレーベルですが、なかなか豪華なラインナップの中で、私の目を真っ先に引いたのは本作であります。
タイトルからして時代もの、しかも作者は児童向け小説で水を得た魚のような活躍ぶりを見せる楠木誠一郎とくれば、見逃す手はありません。
さっそく手にしたその内容はなかなか面白い時代ファンタジーでありました。
実社会に満たされない想いを抱く主人公が異世界に転移し、そこでの冒険を通じて、自分自身を見つめ直し、日常に帰っていく…というのは、洋の東西を、また対象年齢を問わず、ファンタジーものの常道の一つ。
本作もまさにその典型ではありますが、主人公の「フツーの女の子」らしさというものが、なかなか良く出ていたことと、何よりもその彼女が巻き込まれる事件の背後にある、ある秘密の飛ばし方が実に面白く、本来の対象年齢を遙かに上回る私でも、楽しく読むことができました。
正直なところ、この秘密というのがこちらが予想していたのを遙かに上回る大きさで、ほとんど超伝奇ものクラスの代物。現代から江戸時代など目ではないくらいの物語のスケールアップの度合いには、失礼ながら児童小説と油断していた当方の頭をガツンとやられた気分です。
そして、それだけのマクロな設定でありつつも、あくまでも一人の少女の成長というミクロな物語に落とし込まれているのが――これも常道ではありますが――好感が持てます。
一応本作は本作できちんと完結はしていますが、タイトルにナンバーが振られている以上、続編は大いにアリでしょう。これだけの設定、まだまだ面白い話が作れそうです。
レーベルそのものはもちろんのこと、本作の今後の発展も楽しみです。
「大江戸神龍伝バサラ! 1 龍、覚醒せり。」(楠木誠一郎 角川つばさ文庫) Amazon

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