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2009.03.20

荒山柳生二題

 今月は荒山徹先生の「柳生」ものを二作読むことができました。
 まずは「KENZAN!」誌に掲載の「柳生大作戦」ですが…

 今回描かれていくのは、魔人と化した石田三成により豊臣家が徐々に滅亡の淵に追いやられていく姿。
 いわゆる殺生関白・豊臣秀次の乱行、そして秀吉の再度の朝鮮出兵の背後にあったのは、石田三成の陰謀だった! という趣向なのですが…

 正直なところ、ほとんど何から何まで三成の思うがまま、というのは、お話として安直な印象で今一つ…
 でも「これは妖術ですわ!」と言われたら、納得せざるを得ません。だって妖術なんだもの。

 そんなことよりも許せないのは、天津敏(略称)が、怪獣も超兵器も出さずに退場したことなんですが! 期待してたのに!(するな)

 それはさておき、唯一、三成の思い通りにならなかった宗矩さんの出番はほんの少し。
 しかし、英邁な秀忠、清廉な宗矩を見せられて笑いがこみ上げるのは、いかに普段ナントカ史観に毒されているか、ということでしょうか。


 さて、もう一本は「小説トリッパー」誌の最新号での新連載「柳生黙示録」。
 あまりにもネット上で話題となっていなかったので、もしかして私だけに見える妖精さんみたいなものかと思ってしまったのですが、痛めつけられるとパワーアップして強酸の唾を吐くゴルゴダ磔男のコスプレをした剣士を妄想するほど私もまだ極まってはいないので、やっぱり現実の作品なのでしょう。

 それはさておき、本作の舞台は、1637年。そう、あの大事件が発生した年でありますが、物語は、オランダ船がある「積荷」を載せて長崎に到着したのが、ことの起こり。

 オランダ商館長を、そして長崎奉行(二名同時に長崎にいる時もあるのですね)いやそれどころか幕閣を震撼させたその積荷は、ただちに江戸に移送されることになります。
 が、その道中に不安を抱いたのが誰であろう声が甲高くて大時代めいた喋りの柳生宗矩。ただちに柳生剣士団を送り込むのですが――

 不安は的中し、その積荷を狙い活動を開始した怪しの影七つ…彼らこそは、手の指が欠けてる森宗意軒が送り込んだ神聖ハポン騎士団、黙示録の七剣士!
 七剣士の奇怪な術(強酸の唾とか)の前に、次々と倒されていく積荷の護衛たち。果たして積荷の正体は、そして七剣士に立ち向かう者は…

 と、今回はまだまだ序章といったところ。
「柳生」とは言い条、誰が主人公となるかはわかりませんが、しかし冒頭からエンジン全開の荒山伝奇ぶりに、これからの展開が大いに期待できそうです。


 一昨年の「大戦争」「百合剣」に続き、今年は「大作戦」「黙示録」ということで、荒山柳生ファンとしては色々な意味で楽しみな年になりそうです。


「柳生大作戦」第四回(荒山徹 講談社「KENZAN!」vol.8掲載) Amazon
「柳生黙示録」第一回(荒山徹 朝日新聞社「小説トリッパー」2009年春季号掲載) Amazon
KENZAN!Vol.8小説 TRIPPER (トリッパー) 2009年 3/25号 [雑誌]

関連記事
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 「柳生大作戦」第二回 日朝神器争奪戦
 「柳生大作戦」第三回 まずはじめに柳生ありき?

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コメント

こんばんは。
小説トリッパー、全くのノーマークでした。三田主水さんの記事で知って手配しました。いつもお世話になります。
 
>しかし、英邁な秀忠、清廉な宗矩を見せられて笑いがこみ上げるのは、いかに普段ナントカ史観に毒されているか、ということでしょうか。

そんなこと言ったら、先日完結した「徳川家康」なんてもう全編真っ白ですよ。腰抜かしますよ!
 
なお、KEZAN!の作者近況欄によると、徹先生は終了を記念して台湾旅行に行かれるとか。
きっと高砂柳生とか、フォルモサ妖術といった種を仕込んで来られるんでしょうね、こちらもまた楽しみです。

投稿: まさ影 | 2009.03.21 01:33

 はじめまして。三田さんの一言掲示板で、あまりといえばあまりな題名を見たおかげで、読み逃さずにすみました。ありがとうございます。
 小説トリッパーを読みましたが、ついに荒山先生、あの『魔界転生』に挑むというかナニしてしまうようですね。気合の入り方が一回りほど違うようにも感じられて、ワクワクブルブルします。超作になるのではないかと期待せずにはいられません。
 それでは、今後ともよろしくおねがいします。

投稿: ニャル | 2009.03.21 07:32

初めておじゃまします。
わたくし、最近「きょうのあらかると」というココログを立ち上げましたKOZOUともうします。
下手な小説とかもアップしております。

時々寄らせていただきたいと存じます。
もしよろしかったらわたしのブログものぞいていただければ幸いです。

投稿: KOZOU | 2009.03.21 14:43

あ、それと小説宝石にシャクチ最新話がありました。
シャクチは文章がクドいなあと思いますが、怪獣の(イラスト込みでの)ひどさとシメの美しさで参りました。このまま終わっちゃうんじゃないかなあ。もっと続きが読みたい。
オススメです。

投稿: a-kubota | 2009.03.21 21:20

「柳生大作戦」「徳川家康」「シャクチ」「仏罰、海を渡る」「柳生黙示録」……今月はいつにない荒山強化月間ですね。しかし「シャクチ」以外全部に顔をだしている宗矩っていったい……

投稿: どぶろく | 2009.03.21 21:48

もしかすると一つの記事にこれだけコメントがつくのは初めてなのでは…皆さん落ち着いて。

まさ影様:
「徳川家康」は単行本待ちなので、楽しみなのです。しかしここのところ白くなっちゃって反動が心配です。
にしても台湾…ゼーランジャ城でしょうかやっぱり。

ニャル様:
はじめまして。どうぞよろしくお願いします。
森宗意軒の指が一本足りないという描写を見て、心臓が止まりそうになりました。というか、キリスト教ネタというだけでずいぶん危険です。

KOZOU様:
はじめまして。どうぞよろしくお願いします。
私のところはずいぶんと混沌としたブログですが、ご勘弁を

a-kubota様:
「シャクチ」はまだ読んでおりませんでしたが、怪獣! それは良いことをうかがいました。
やっぱり怪獣が出てナンボといっても過言ではありませんね(過言です)

どぶろく様:
ちょっと驚くくらいの先生の頑張りに、かえって心配になってきました。
しかし言われてみれば皆宗矩…先生そのうち「俺が宗矩だ」とか言い出さないか心配です。

投稿: 三田主水 | 2009.03.22 00:30

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