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2009.03.06

「魔人ハンターミツルギ」を見終えて

 ダラダラと続けてきた「魔人ハンターミツルギ」紹介ですが、全十二話を通して見た上での感想を、最後に書いておきたいと思います。

 本作を語る――というよりツッコミを入れる――上で、まず真っ先に上がるであろう二つの点、すなわち「主人公がヘルメット、に代表される時代劇らしくなさ」と「巨大化したら小さく見える、と言われるほど人形アニメーションがしょっぱい」については、これは全く同感というか、紛れもない事実ではあります。

 前者については、これだけに頼られても困るけれどもそれがないとやっぱり困る時代劇としての記号的部分が、主人公のところだけぽっかりと抜けてしまっているという状態で、さすがにこれはまずいでしょう、という印象。時代もののコスチュームをアレンジしたというレベルでないのが既にマズイでしょう。

 後者は、番組の最大のウリであったはずの要素が、逆に足を引っ張りかねないという更にマズイ状態。意欲は大いに買いますし、確かにユニークな容姿の怪獣も多く楽しめたのですが…逆スケール感溢れる特撮テクニックは置いておくとしても、人形とはいえやはりアクションには殺陣というものが大事ですね、と言うほかありません。


 しかし――これほどの欠点があってもなお、私が本作に大きな魅力を感じるのは、主人公の独特のスタンスであります。

 これは第一話から描かれていることですが、三兄弟にとっては、当時の――後述するように不安定なものであれ――支配層であった徳川家は、忠誠心を持つはおろか敬意を払うに値しない存在として、劇中では描かれます。
 もちろん、特撮ヒーローが(そこに所属している場合はさておき)政府や公権力にべったり、というケースは少ないのですが、それにしても三兄弟の場合はいささか度が過ぎていて、第4話のように、幕府の金蔵を破った上に、千両箱に爆弾を仕込んで怪獣を爆殺というのはその最たるものではないかと思います。

 さらにこのケースに見られるように、魔人サソリの悪事を阻むためであれば、手段は選ばず、立ちふさがる者は容赦しないという独特の非情さは、特に銀河のヒーローらしからぬ行動に代表されて、全編を通じて描かれています。
(そしてその個性が物語と最もスイングしたのが、第11話であることは間違いありません)

 このような色々な意味でアナーキーなヒーローが活躍できたのは、本作の舞台が、危ういバランスで秩序が成立していた、江戸時代初期(第1話で家康が大御所であったこと、第8話で関ヶ原の落ち武者狩りが行われていることから判断できます)であったからではないか…と、感じられます。

 宇宙からの侵略者に抗するのに、政府が当たるのではなく、人知れず生き延びてきた一族が当たるというのは、伝奇もの、ヒーローものとして定番ではありますが、しかしそこに一定の説得力が生まれるのは、政府に代表される秩序が未成熟であればこそ…というのはいささか牽強付会かもしれませんが、少なくとも本作においてはその図式が当てはまるように思えます。

 ちなみに、第7話に登場した、銀河の幼馴染みら剣持一族の運命を思うにつけ、世俗の権力から一定の距離を置く――もちろん自分たちが権力の座に就こうともしない――ミツルギ一族の姿に、「まつろわぬ者」の一つの身の処し方を見るのですがいかがでしょう。


 話があちこちに飛んでしまいましたが、最初に述べたように、特撮時代劇ヒーローものとしてほとんど致命的な欠点を持ちながらも、本作が、この舞台でなければ描けないような特異なヒーロー、特異な物語を描いていたことは、忘れてはならないと感じる次第です。
(もっとも、それを自覚していたのはまつしまとしあき氏だけではないか、と思えてしまうのが困ったものですが…)


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