「アイゼンファウスト 天保忍者伝」第1,2巻 暴走する正義、暴走する作品
伊賀忍者・箒天四郎と塵ノ辻空也は、江戸南町奉行・鳥居耀蔵による奇怪な試験を受ける。試験に合格した二人は、鳥居より、正義の世直しの尖兵として悪に鉄槌を下す役目を命じられる。勇躍拝命した天四郎に対し、空也はこれに反発して悪の鉄盾となることを宣言する。二人の対決の行方は…
と、あらすじだけ見ると真っ当に見える「アイゼンファウスト 天保忍者伝」の単行本が一、二巻同時に発売されました。
いやはや、第一話の時点での予想を遙かに上回るエロ方面での暴走に、一応全年齢対象のうちのブログとしては、紹介してよいものかしらと考えましたが、これくらいで引き下がっては伝奇時代劇アジテーターの名がすたる、と思い返して紹介する次第。
(だからよい子と純情な婦女子は読んじゃダメ!)
というわけで、本作ですが…
・忍法合戦少なめ、鬱展開多め(というよりほとんど全部)の原作
に、
・無駄に過剰なエロ
・こないだ原稿盗まれた横山まさみち先生的表現術
・やっぱり期待通りの長谷川チックな鳥居様
・果てなきDT魂(ロベスピエールには負ける)
をブチこんだら何だか大惨事(ホメ言葉)になってしまったという印象。
まったく、劇画村塾は遺伝子レベルで頭の中をいじってたんじゃないか…とあらぬ疑いをかけたくなるような狂いぶりであります。
近頃の山風先生を神格化する向きが見たら、泡吹いて倒れるかもしれません。
しかし…これはひねくれ者ゆえの感想かもしれませんが、これだけ無茶苦茶している本作であっても――少なくとも第一章では――読後に受ける印象は、意外なほど原作のそれに近いものがありました。
アレンジが(特にエロ方面で)暴走すればするほど、そのギャグ寸前の極端な描写が、原作の主題である人間の、特に女性の二面性――善と悪、美と醜、聖と俗――がより極端に浮き彫りにされるように感じるのです。
(これでもかと強調される天四郎のDTぶりも、彼の青臭い正義感の象徴なのでしょう。とすれば…)
とはいえ、暴走は加速するもの。これから先、本作がどこまで転がっていくかはわかりませんが、これはこれで長谷川先生と山風先生の真剣勝負、と言うべきでしょう。
しかし原作初読時、「これからすごい忍法合戦が展開されるのでは?」と、まだまだ甘い期待をしていた三田さんを愕然とさせた空也の変貌をあの絵柄でやってくれたら、長谷川先生を神と崇めます。
先生はやる気まんまん(notオットセイ)みたいですが!
「アイゼンファウスト 天保忍者伝」第1,2巻(長谷川哲也&山田風太郎 講談社KCDX) 第1巻 Amazon/第2巻 Amazon


| 固定リンク





コメント