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2009.04.01

「赤鴉 セキア」第3巻 皇帝の魔手、日本に迫る

 混血の隠密集団・赤鴉衆の暗闘を描いた「赤鴉」、この第三巻でまことに残念ながら完結であります。この巻では、前巻から引き続きの「薩摩抜荷編」の完結編と、「皇帝ナポレオン編」全編が収録されています。

 「薩摩抜荷編」の方は、薩摩のブロックを次々と潜り抜けてきた赤鴉衆と御庭番・明楽が、ついに抜け荷の現場に突入。ここまでくるとアクションまたアクションの連続で、ストーリー的にはかなり直球なのですが、これまで出番的に一歩引いていた主人公・紅郎の無茶苦茶な強さと、明楽の馬庭念流vs薩摩示現流の真っ向勝負を見れたのはやはり眼福。本当にかわの先生のアクション描写はうまい、と思います。

 そしてタイトルからしてグッと来る「皇帝ナポレオン編」は、英仏の世界を股にかけた領土争奪戦を背景に、ナポレオンの密命を受けた直属のスピーオン(スパイ)が長崎に現れるというエピソード。
 以前紹介した「日本のナポレオン伝説」にあるように、ナポレオンが日本に――特に幕末の思想に――与えた影響というのは意外に小さくないのですが、あくまでもそれは日本側がナポレオンを認識していたという話。
 ナポレオン側が日本にアプローチしてくるというのは、これはフィクションですが、史実を巧みに敷衍しながら、アクション味たっぷりの時代漫画として成立させているのは、これは本作ならではのアプローチかと思います。
(そんな中、件のスパイが自分のことを闇の革命戦士・灼炎のサガンとか名乗っちゃうのが素敵。)


 しかし、題材的に面白ければ面白いほどここで完結してしまうのがまことに残念ではあります。お話としては一応完結しているとはいえ、日本とナポレオン、ひいては当時の日本とヨーロッパの関係を題材にしたエピソードとしては、まだまだ描けると思えるだけに――そして赤鴉衆結成の本当の目的が果たされていないこともあり――まだまだ続いて欲しかったなあというのが正直な印象ではあります。
(次の連載との兼ね合いなのかな、と思われるフシもあり、ちょっと急な完結なだけに特に)


 時代劇としてはコロンブスの卵的なキャラクター、設定を用いつつ、鎖国期の日本と海外の関わりを伝奇テイスト濃厚に描いてきた本作。決して長い作品ではありませんが、伝奇時代劇ファンには忘れることのできない佳品であったと思います。


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