「雨の日の迷子 鬼ヶ辻にあやかしあり」 手抜きのない恐ろしさ
大雨が降った晩、鬼が辻で唯一の人間・銀次と妖怪たちは、背中に刀傷を負った少女を見つける。銀次の献身的な看護で一命を取り留めた少女は、しかし過去の記憶を失っていた。少女をおまゆと名付けた銀次は、彼女のことを知る人間を探すが、その前に現れたのは…
児童文学らしからぬ黒い――しかしどこか魅惑的な内容に驚かされた「鬼ヶ辻にあやかしあり」シリーズの第二弾。「雨の日の迷子」というタイトルだけ見れば何だか可愛らしいイメージですが、もちろんそれだけで終わることもなく…
今回物語の中心となるのは、鬼が辻の妖怪たちと人間たちの仲立ち役とも言うべき青年・面売りの銀次。
昔からこの世のものならぬものが見える銀次は、面売りは表の顔、その一方で、鬼が辻の妖怪たちの依頼を受けて、人間界の品物を手に入れてくるのが彼の裏の顔…というのが第一弾で簡単に述べられた彼の設定ですが、今回、記憶喪失の少女を拾ったことで、彼の生活・人となりが掘り下げられて描かれます。
妖怪と人間の仲立ちというのは、私のような(妖怪)バカからすると、何だかうらやましい限りなのですが、もちろん楽しいことばかりではありません。存外気の良い連中も多いとはいえ、中には剣呑極まりない妖怪もおりますし、何よりも、普通の人間の中で暮らしていくことが、逆に難しくなるのですから…
そんな日常を送っていた銀次にとって、初めて自分のことを怖がらずに受け入れてくれたおまゆは、妹のような大事な存在。その彼女の幸せのため、失われた過去を求めて銀次は東奔西走しますが、さてついに辿り着いた彼女の過去とは――
と、ここからはやはり重くて黒い展開。おまゆの巻き込まれた事件の犯人たちに、白蜜姫の下した裁きは…いや、真剣にホラーなのですが、これ。
因果応報などという言葉も生ぬるい、悪人ばらを襲った運命は直截であるがために一層生々しく、幾分オブラートに包んであるとはいえ手抜きのない表現は、大人の自分が読んでも十分怖い(「それから数日」という言葉がこれほど恐ろしいものだとは…)。
いや、書くのであれば、子供向けだからと手を抜かず、ここまできちんと書かないといけません。
さて、シリーズ第三弾は、損得勘定抜きで白蜜姫が人助けをする、とのことですが、果たしてそれだけで済みますか…次回もおっかない話を期待したいところです。
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