« 「必殺仕事人2009」 第11話「仕事人、死す!!」 | トップページ | 「桃山ビート・トライブ」 うますぎるのが玉に瑕? »

2009.04.13

「〈隻眼流廻国綺談〉石の城」 剣豪vs吸血鬼

 隠棲した剣豪を訪ねて山城国の山村を訪れた隻眼の剣士。しかし彼を待ち受けていたのは、死に絶えたかのような村の惨状だった。百年前に退治されたはずの異国の怪人が復活したと聞かされた剣士は、山中に築かれた石の城に向かうが。

 ホラーファンにとっては言うまでもなく、伝奇時代ファンにとっても見逃すことのできない異形コレクションのうち、吸血鬼テーマの「伯爵の血族 紅ノ章」に収録された菊地秀行先生の短編であります。
 日本のエンターテイメント界における吸血鬼の地位向上(?)に多大な貢献をしてきた菊地先生が、時代もので吸血鬼を描く。それもタイトルに暗示されている、あの剣豪を主人公に――

 百年前に異国から本朝を訪れ、山中に異形の石の城を築いた怪人。怪人のくちづけにより、血を啜る悪鬼と化した人々。引き抜かれたかのように全ての樹木が失われた山。霧の中から襲いかかる巨大な蝙蝠…
 一読、好き者であれば思わず顔がほころぶような題材を詰め込んだ――しかもラストにはスペシャルゲスト(?)まで――黄金カードであります。


 が…ページが少なすぎたかな、というのが正直な印象。主人公の一人称で物語が進むためということもあるのかもしれませんが――剛胆な主人公というのも良かれ悪しかれであります――物語が淡々と進み、何よりも異国の怪魔への恐怖が伝わってこないのが惜しい。
 ラストの展開に繋がる、ある人物の心理状態などは、いかにも菊地剣豪小説的でニヤリとさせられるのですが、吸血鬼と剣豪という組合せの魅力を、十全に引き出していたとは言い難いのが残念でなりません。


 しかし、これだけ何のため出てきたかわからない親父殿も珍しい…


「〈隻眼流廻国綺談〉石の城」(菊地秀行 光文社文庫「異形コレクション 伯爵の血族 紅ノ章」所収) Amazon
伯爵の血族 紅ノ章 異形コレクション 37

|

« 「必殺仕事人2009」 第11話「仕事人、死す!!」 | トップページ | 「桃山ビート・トライブ」 うますぎるのが玉に瑕? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13655/44653723

この記事へのトラックバック一覧です: 「〈隻眼流廻国綺談〉石の城」 剣豪vs吸血鬼:

« 「必殺仕事人2009」 第11話「仕事人、死す!!」 | トップページ | 「桃山ビート・トライブ」 うますぎるのが玉に瑕? »